グーレラーシャの獅子3
明けましておめでとうございます。
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本年もよろしくお願い致します。
阿野根の作者
マリシデル・オプディア警護官だったな、何故、怯えているのだ、しっかりと、修練していればそこそこいけるだろう。
「新人さん!頑張ってください!」
聞きなれた声がするな...律? 何故、オブディア警護官を応援する。
「律様、アイツの生存率下げないでください。」
ニフィロ警護官が案内したのか。
「日本人的には、弱い方が応援対象なんです...陛下も一応頑張ってください。」
律、もっと熱心に応援してくれないか、この男はせっかくの律との憩いの時間を邪魔したのだぞ。
「参りました。」
オブディア警護官が頭を下げた、うむ、なかなか見所があるな♪こうして立ち上がっていられるとはな。
「お見事でございます、陛下。」
サルティーアスが何故か律を伴ってちかずいてきた。
「律、陛下の汗を拭かせていただきなさい。」
...気がきくな、サルティーアス。
「そんな、恥ずかしい事、嫌だよ。」
律は、恥ずかしいのか?
「寵姫としての特権だろう、させていただきなさい。」
サルティーアスが少し強く言った。
「...ようは、汗を乾かせればいいんだよね。」
律は何か思い付いたようだな、私は普通に拭いてもらった方がよいが。
「...やっぱりいいや、ティー兄ちゃん、どれで拭けばいいの?」
何を諦めた?律、何をしようとした。
「最初から素直にすればいいものを。」
サルティーアスは律に布を渡した。
「陛下、届かないからしゃがんでください。」
律は小さいからな、抱き上げるか?
「抱き上げられると拭きにくいです。」
律の柔らかい手が布ごしに肌に触れる、食べてしまいたい。
「そう言えば、何をしようとしていた。」
何か、しようとしていたな。
「風の魔法で汗飛ばそうと思ったら、魔力が練れなかったんですよ、魔封じしてますか?」
魔法が使えるのか、さすがだな。
「王宮全体に魔法使い対策は仕掛けてある、特に修練場ではな、魔法使い対応訓練の時は解くが。」
律はそうなんだといいながら汗ふきを続行した、気持ちいいな♪ずっとこうしていたい...いや、いっそ、寝室に連れ込みたい。
「孫、律嬢とたわむれ中のようじゃか、武術訓練がすんでからにせい。」
師匠がおいでになったようだな。
「そのまま、律嬢を抱えて訓練するのも悪くないかもしれんが。」
ハンデのある状態で武術訓練か...それも必要だな。
「...下ろしてください、格の違う相手とする時は荷物を持っていると、ケガの原因になりますよ。」
律?そなた、格の違いがわかるのか?確かに祖父上様の方がお強いが。
「律嬢は、わかるのか?」
祖父上様は驚いたように言った。
「五十嵐道場に...武術の修練場みたいなところに通ってましたから。」
律が武術訓練?それにしては弱いぞ。
「でも、私は筋力がつかなかったので、バトルファンでスピード勝負ですが...。」
バトルファン?何だそれは。
「バトルファンとなんだ?律?」
そう聞くと律はいつも身に付けている、ピンク色の小さい袋から透かし彫りされている扇?をだした、良くあの中に入っていたな。
「ムリュフ精霊国の扇のような大きさじゃな。」
確かにあの神秘の国の扇ににている、このような武器もあるのだな、興味深い。
「金属で出来ていて、広げて切るようにつかったり、投げてつかったりします、私は筋力がないので通常サイズにさらに透かし彫りを入れて軽量化してあります...ま、ほぼ私が勝つことはありませんが。」
そうだろうな、律は弱い、その武器はそのうちゆっくりとみせてもらおう。
「それでも、そのドウジョウとやらに通っていたのじゃな。」
感心したように祖父上様は言った。
「ええ、踊りもそこで習ってましたから、あと、五十嵐家最弱の女...と友達でしたから。」
五十嵐家最弱の女?だれだ?踊り?律は舞踏家か?
「孫、律嬢を下ろして、武術訓練を始めようぞ。」
そうだろうな、話はそれからだ。
「はい。」
律を下ろした、律はすぐ、離れて行った、寂しいな。
「孫、ウェティウス。」
武術訓練が終わってもう一度、律に拭いてもらっていたら祖父上様に呼ばれた。
「律嬢は置いてこい。」
...訓練が終わったのだからなるべく一緒にいたいのだか。
「律は私が警護致します。」
サルティーアスが言ったので律をあずけた。
「ティー兄ちゃんのは、警護じゃないよ、監視だよ。」
律がぼやいた、そうだ、サルティーアス、逃げないように監視しておけ。
「何のご用ですか?祖父上様。」
私が聞くと祖父上様はニヤリとした。
「律嬢だか、得難い人材のようじゃな。」
祖父上様が言った。
「強い女性は、この国には沢山いる、じゃが、相手の実力が見ただけで図れる女性はそうそうおるまい、あの洞察力は貴重じゃ、孫の遊び相手だけでは、もったいない。」
遊び相手とは思っていないが。
「ウェティウス、律嬢を伴侶にするつもりはないか?」
祖父上様が言った。
「もちろん、そのつもりですが。」
そうだな、公式には律の立場は明確化していなかったな。
「そうか、逃すでないぞ、ひ孫を期待している。」
ひ孫と祖父上様が言う事は本気だな、律、そなたが逃れる道がまた、絶たれたようだな、逃すつもりはないが。
「ティー兄ちゃん、私は帰るよ。」
律は逃げに入ったようだな。
「陛下にお聞きしてからにしろ。」
サルティーアスが粘ってるな。
「陛下、帰って良いですよね。」
律が私を見上げた。
「用はすんだ、戻るぞ。」
え?何?って顔をした、律を抱き上げて部屋に戻る事にした。
「先輩、オレ、いたたまれないです。」
オブディア警護官が言った、懲りてないようだな。
「馬鹿、また、修練されたらお前、今度こそ死ぬぞ。」
ニフィロ警護官がいさめた、私は鬼じゃないぞ、今は機嫌がいい。
「陛下がこうやって抱えるから...まあ良いですよ...ハア。」
律がため息をついた。
「困った事があったら、いってくれ。」
律は、何とかするからいいですと言って黙りこんだ。
...全く、律は我慢し過ぎる、そなたは祖父上様にも認められた、私の大事な未来の伴侶だぞ...もう少し私を頼って欲しい、ヒフィゼ嬢派がやはり、そなたをいじめるのか?
今日はなにもせずに帰してやれそうにない、そんな困ったような顔するな、律、そなたの唇は甘いな。
五十嵐家最弱の女は別ユーザーの飛人参さんの『真王のおかん。』『研究者の財布。』に登場しております。