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詩 コンビニに寄ると、ナンパされる

作者: WAIai
掲載日:2026/06/17

下校途中、コンビニに寄ると、彼が

「トイレに行く」

と言うので、私はうなずく。


「1人で大丈夫か?」

「大丈夫よ。すぐ戻ってくるんでしょう?」

「おう。行ってくる」


彼が行ってしまったので、アイスを眺める。


チョコレートもいいし、バニラもいいし、さてどうしようかなと迷っていると、人の気配を感じる。


「あ、来…あれ?」


側に来たのは20代くらいだろうか。

スーツを着た男の人だった。


香水をどれだけつけているのか知らないが、匂いが強すぎる。

コンビニの商品が全部まずくなるような、そんな強烈な香りだった。


「1人?」


話しかけられて、私は首を横に振る。

何の用だろうと身構えていると、スマホを取り出してくる。


「連絡先、交換しない?」

「…は?」


私は固まり、男を見つめる。

これは…ナンパというものだろうか。


初めて遭遇したので、どうしていいか分からず、首を横に振り続ける。


「スマホくらい持っているでしょう? 交換しよう、ね?」


男はしつこく、私はトイレの方角を眺める。

すると彼が出て来て、顔を明るくする。


彼も何かの勘で気づいたのか、怖い顔で側にやって来る。


「何の用ですか?」


急に怖い声で話しかけられ、びっくりしたのか、男が彼を振り返る。体格の良い彼を前に、急におどおどし始める。


「もしかして…彼氏?」


さっきまでの余裕などなく、気弱な口調となる。

私はかっこいいと彼を見つめ、少し元気を取り戻す。


「そうですけど、何の用ですか?」


彼がもう一度、地をはるような低い声を出すと、男は「ははは」と弱々しく笑い、去っていく。


彼はコンビニを出るまで、男を睨み続ける。

私は助かったと思い、彼の胸に抱きつく。


「怖かった…」


声を震わすと、彼が優しい顔つきとなり、背中を叩いてくる。


「だから言ったのに。1人で大丈夫かって」

「うん。こめん…。ナンパされるなんて、初めてだったから」

「そうなのか? とにかく無事で良かった」


頭を撫でられ、私は安堵の息を吐き出す。

彼の言うことはちゃんと聞こうと、今度から気をつけるつもりだった。


「大丈夫、大丈夫。俺がいるから、な?」


甘くてとろけるような声。

私を安心させるためだけの声に、身体が落ち着いてくる。


「ありがとう。もう大丈夫」


そう言って、彼から身体を離したのだが、心配なのか手を繋いでくる。

私もまだ彼の温もりが欲しくて、指を絡める。


「それよりも何を買う?」

「そうだな…。アイスかジュースか」


私はようやく笑顔を浮かべ、彼と商品を見始める。


守ってくれて、ありがとうね。

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