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第五話:毒妖精メルティ

「ぶえっくしょい!ズズー」


 ドラミナの豪快なくしゃみが朝の川縁に響いた。


 ザブザブ。


「ドラミナ、くしゃみで地形を変えるのはやめろ」


 俺は川から上がり岸辺にできた新たな窪みを見て言った。


「妾は冷えに弱いのじゃ……」


「軟弱な体だ」


《川の中で睡眠してるほうがおかしいですからね!》


「よし、毒妖精のところに向かうぞ」


「テッペイ。その前にずぶ濡れだから乾かすのじゃ」


「何を言っている。ちょうどいい湿り気だ。乾かすとか俺を殺したいのか?」


「そ、そんな気はないのじゃ。テッペイがそれでいいなら妾は何も言わないのじゃ」


《ドラミナちゃん、あなたは普通のことを言ったのよ……》


 俺は防具屋に書いてもらった案内図を見る。


「だいぶアバウトな地図だな。まったくわからん」


「妾に見せるのじゃ!これは街の南東じゃな。あのあたりは治安が悪いのじゃ」


「そうか、じゃあ行くぞ」


 俺たちは街の南東を目指し歩き出した。


 ヒソヒソ。


「何かしらあのびしょ濡れの方」


「となりにいるの破壊魔のドラミナじゃないかしら?」


「とても素敵な方だけどちょっと近寄りがたいわね」


《判定が顔でごまかせないほど不審者になってる》


「テッペイ。地図によるとこの辺りなのじゃ」


「ふむ、随分薄暗い穴倉の入り口しかないな」


「明かりなら妾に任せるのじゃ」


 ドラミナは尻尾の先に炎を灯した。


「明かりは良いが俺には近づけるなよ。乾くからな」


「気、気を付けるのじゃ」


 俺はドラミナの明かりを頼りに穴倉へと入っていった。


 カチッ。


 最初の部屋に入ると何かのスイッチを踏んだ。


 プシュー。


 緑色の気体が俺たちに吹きかけられる。


「ぺっぺっ!テッペイこれは毒じゃ!鼻がむずむずする。ぶえっくしょい!」


 ドラミナの豪快なくしゃみにより毒霧はすべて吹き飛ばされた。


「おい、建物を壊すなよ。砂の中に埋もれるならいいががれきには埋もれたくない」


「大丈夫なのじゃ結構我慢したのじゃ。ズズーッ!」


 ドラミナは鼻をすすりながら、胸を張った。


「よし、どんどん行くぞ」


 毒霧の部屋の次はたくさんのキノコが生えていた。


「ここは栽培部屋か?」


「どうみても毒キノコなのじゃ!派手過ぎるのじゃ!」


「毒キノコかどれ」


 モシャモシャ。


「なんで食べるのじゃーーーー!」


《なんでたべるのーーーー!》


「ほう、これは幻覚作用があるタイプの毒キノコだな、幻聴が聞こえる」


《私の声はいつも聞こえてるでしょうに!》


「俺の体は毒を取り込めるからな、様々な毒を摂取しておきたいのだ」


「そ、そうなのじゃ?頑丈なだけじゃないんじゃな。凄いのじゃ!」


 俺たちはキノコ部屋を後にし次の部屋に進む。


 ポチッ。


「あ、なんか押したのじゃ」


 上からシャワーが降り注いだ。


「そろそろ湿り気を補充したいと思っていたところだ。気が利く家だな」


「テッペイこれは腐食毒なのじゃー!しゅわしゅわするのじゃ!」


「腐食毒?む、残っていた外骨格まで溶けてしまった」


「腰布しか残ってないのじゃ……」


《どうしてすぐに着るものがなくなるの……》


「どうやら金属特攻の腐食毒だったようだな。便利そうだから飲んでおこう」


「たくさん毒を体の中で混ぜても大丈夫なんじゃな」


「毒無効だからな」


「竜人族もたいがいの毒は効かないのじゃが、テッペイにはかなわなそうなのじゃ」


 毒シャワールームを抜けて暫くすると、立派な扉が目に入った。


「ゴールみたいだな」


「早速開けるのじゃ!」


「まて!毒妖精は気難しいらしいからな、まずはノックからだ」


「な、なるほどなのじゃ」


《ノックから入っても見た目の不審者度で台無しだと思いますよ!》


 コンコンコン。


「すまない。頼みたいことがあって訪ねたんだが、在宅だろうか」


「どうぞ~」


 扉の内側から、おっとりとした声が返ってきた。


 「よし、入るぞ」


 ガチャリ。ヒュン!ブスッ!


 扉を開けると矢が飛んできて俺たちに突き刺さった。


「なにをする!」


「実験場を通過してきて裏口からくるようなほぼ全裸の奴に、まともに取り合うわけないでしょ~」


 そういうと声の主が姿を現した。緑色の髪に茨のようなものが巻き付いている特徴的な髪型だ。


「お前がメルティか」


「ええ、そうよ~ところで、後ろのトカゲ女はしびれて動けないのにどうしてあなたは平然としてるのかしら~?」


「わ、妾はトカゲじゃ、ないの、じゃ!」


 ドラミナは痺れてひっくり返った姿で抗弁していた。


「竜人族も痺れる毒か使えそうだな」


 俺は体に刺さった矢を引き抜いて毒が付いてそうな矢先を舐めた。


「えっ!?なにしてるの?」


 《あ、あまりの奇行に余裕がなくなってる!》 


「便利そうな毒は取り込むことにしている。今のところ体に貯めた毒を出す方法は身に付けてないが」


「あの、あなた人間よね?妖精とかじゃないわよね?」


「俺はカニだ。ここにはハサミを作ってもらうために来た」


「ハサミ……」


「そうだ、防具屋に魔力で開閉の力を制御できるハサミ型ガントレットを作ってくれと言ったらここを紹介された」


「確かにそれは錬金術の領分だと思うけど~……」


「ああ、素材はミスリルで頼む、鋼鉄はそこにひっくり返ってるドラミナの一撃に耐えられなかったからな」


「あなたの要求は分かったけれど、ここに来るまでの毒もその……取り込んできたの?」


「毒霧、幻覚キノコ、腐食シャワーは嗜んできたぞ」


「つまり毒が全然効かないってことよね?」


「ああ、毒無効だ」


「ふんふん、あなた名前は?」


「蟹崎鉄平だ、テッペイでいい」


「そう、いいわテッペイ!あなたの依頼受けてあげる!」


「ほう、助かる」


「それで予算は?」


「ない、あるのはギルドへの借金だけだ」


「……ミスリルで作るのよね?」


「ああ、ガントレットだけじゃなく全身を覆う外骨格も欲しい」


「ミスリルの備蓄なんてここにはないから、お金がないなら採掘しに行くしかないわよ~」


「採掘権とか大丈夫なのか」


「危険地域で採掘放棄されてるところは知ってるわよ~。そこのトカゲ娘がいれば楽勝だと思うわ~」


「妾はトカゲじゃない!」


 しびれが取れたからかドラミナが元気に立ち上がった。


「よし。ドラミナ。ミスリル採掘に行くぞ!」


「あ?そうなのじゃ?わかったのじゃ」


「私もついていくわよ~。仕事を受ける代わりにあなたに色々な毒を試させてもらうわ~」


「そうか、バリエーションは多めで頼むぞ」


《気にするのそこじゃないわよ!》


「何から試そうか迷うわ~」


 メルティは恍惚とした表情を浮かべていた。


「妾はこいつ嫌いじゃ!」


「そうか、じゃあここで別れるか」


「が、我慢するのじゃ!」


 こうして俺、ドラミナ、メルティでミスリル採掘へ行くことになった。

最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!

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