第十一話:これが転生勇者ってやつか~
僕は須藤快斗、トラックに跳ねられそうになっていた子供を庇って命を落とし、この世界に転生してきた勇者だ。
女神アリシアの加護を受けて、魔王討伐を目指している。
先日はこのグラスランド地域の村を苦しめていたゴブリンの巣穴を掃討したばかりだ。
僕は村人から街の霊廟付近でスケルトンが大発生していると聞いて魔王軍の気配を感じ取ってここまでやってきたのだ。
ギィ。
僕は街のギルドのドアをくぐり受付嬢に問いかける。
「霊廟のスケルトンを退治しに来たんだけど」
「スケルトン退治ですか?テッペイさんがもう処理しましたよ」
「そうなんだ、優秀な冒険者がもう霊廟に平和を取り戻したんだね。でもスケルトンの大発生は魔王軍のせいかもしれないんだ調査してもいいかな?」
「ええ!?魔王軍ですか?この平和なグラスランドにもついに魔の手が迫ってきたんですね……」
「ああ、そうなんだ僕は各地で魔王軍の企みを阻止しながら魔王討伐を目指してるんだ」
「そうなんですね、あれ?でもギルド登録されてませんね?」
「街に来るのはこれが初めてだからね。そうだついでに登録してもいいかな?」
「もちろんですよ!ではこちらの書類に必要事項を書いて、この水晶に手をかざしてください」
名前:スドウ カイト。
種族:人間。
性別:男。
特技:聖剣技、聖魔法。
僕は書類に必要事項を書き込み、差し出された水晶に手をかざす。これが異世界でよくあるステータス鑑定の道具かな。
筋力A
敏捷性B
魔力A
耐久性C
意志力B
「なかなかの能力ですね!」
「これはCとかは低いの?」
「一般的な方がEでギルド登録者の平均がDだから優秀ですよ。Aとかは滅多にいません!」
「ほっ、よかった。それじゃあスケルトンを倒した冒険者がどの宿に泊まってるか知らないかな?情報を聞き出したいんだ。」
「テッペイさんですか?街の南の川縁にいると思いますよ」
「ありがとう!そうだ君の名前を教えてくれないかな?今後もお世話になるかもしれないしね」
「私の名前ですか?モニカですよ。魔王軍の調査頑張ってくださいね!」
こうして僕は教えられた川縁へと向かった。
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ビシュッ!ズビッ!
「ふむ、なかなか水鉄砲の連射も様になってきたな」
「小さい石にも百発百中なのじゃ!」
「毒鉄砲にしない~?」
「メルティ、毒とは秘めるものだ、むやみやたらに使うものではない」
「切り札にしとくってことね~流石だわ~」
「ねえ今日も朝ご飯ないの?……」
シオンがげっそりした顔で聞いてきた。
《死霊だから元々なのか空腹のせいなのかわかりづらいですね……》
「ふむそうだな、自切もエネルギーがいるしそろそろひと稼ぎするか」
そう考えてギルドに向かおうとした時だった。
「待て!魔王軍!街にはいかせないぞ!」
そこには光り輝く剣を構えた一人の青年がいた。
「えっ?あっ!魔王軍はやめたから!もう魔王軍じゃないから」
シオンが情けなく弁明をした。
「そうよ~魔王軍の幹部も見てのとおりわたしたちの荷物引きよ~」
メルティはキャンピングカーを引くエンリケ君を示して言った。
「やはり、スケルトンを操る魔王軍は居たのか!くっ!川縁にいた冒険者テッペイはどうしたんだ!」
「テッペイは俺だが?」
「へ?銀色の化け物め冒険者の名を騙るな!」
ブンッ!
青年は光る剣を急に振りかざしてきた。
バキッ。
俺は左ハサミで剣を挟み取ると、とりあえず危ないのでへし折った。
「!?僕の聖剣が!?女神さまからもらった聖剣!?!?」
「ん?女神?聖剣なんて渡したのか?」
《たぶん……彼はアリシア姉さんの担当じゃないかな~》
いつもと違い妙に女神は歯切れが悪かった。
「女神に種類があるのか……」
「テッペイ誰と話してるのじゃ?」
「脳内の幻聴とだ。気にするな」
「毒もほどほどにするんじゃぞ」
「え?テッペイに聞く幻覚毒があるの~!?」
「みんな、ちょっとは剣が折れた彼のことを気にしてあげてもいいんじゃ……」
「剣が折れたぐらいで、僕はあきらめない!お前たちを通して街に被害を出させるわけにはいかない!」
青年は体から光を漲らせて立ち上がっていた。
「ふむ」
カシャン。
俺はフェイスガードを開けた。
「え?人の顔?」
「勘違いしているようだが俺は魔王軍ではない。ただの無害なカニだ」
「カ、ニ?」
「剣を折ったのは謝罪しよう。だがそちらもよく話を聞かずに斬りかかるからだぞ」
「あ、いやそのどう見ても魔物に見えたからてっきり」
「これからは気を付けるんだな」
「はい、気を付けます。それではその……失礼します」
青年は折れた剣先を拾いすごすごと帰っていった。
「ありゃなんだったのじゃ?」
「転生勇者ってやつだろう」
「魔王倒すのが仕事の勇者があんなに弱くていいのじゃ?」
「勇者も最初から強いわけじゃないんだろう」
「勇者は毒耐性あるのかしら~」
「弱そうな骨だったから無理じゃないかな」
《姉さんまた転生者を焚きつけるだけ焚き付けて放置してるんですね……》
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ここは天界。女神アリシアは自身の御所から妹の下に向かっていた。
「ちょっとエリシア、なんか私の聖剣が折れた反応があったんだけどあなたの仕業よね?」
「ね、姉さん!それは誤解というか、違うとも言い切れないというかなんというか」
「神が与えた聖遺物を破壊できるのは神の加護を受けてるものだけなのだから、あなたのせいに決まってるでしょう!勇者がやられて世界がカオスに傾いたらどうするの!」
「心配なら姉さんが逐一アドバイスしてあげればいいんじゃ……」
「私はあなたと違って担当してる世界が多いから1つのところを見てるわけにはいかないのよ!とにかくあなたも転生者を管理しているのだからちゃんと仕事をしてちょうだい!」
「あ、うんそれはねうんそう私も思う。でも聖剣折れたのは私のせいじゃないから」
「頼むわよ!」
アリシアは自身の御所に帰っていった。
「ふぅ~。と、とりあえずテッペイを観測されなくてよかった!」
私は胸を撫で下ろし再びテッペイの観測に戻った。
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