シスター⑥
シスターは時間が止まったように動かない。
俺もまたじっとしているので、ただキスをしている時間だけが過ぎていく。
そして時が動き出す。
シスターは俺を引き離し、「カイト!? 何をしてるの!?」
「俺の気持ちを伝えたかったんだ……」
俺は今までシスターに何度も怒られてきた。
悪戯したり、悪いことしたり、言うことを聞かなかったりするからなんだけど、でもそれは全部俺のためだってわかってた。
だって、シスターは怒るときも普段と変わらない優しい目をしているから……。
でも、今は違う。
涙を流しているその悲しい目は、普段の優しいシスターの目じゃなかった。
その目を見てると、俺も悲しくなる。
「シスターがここに聖堂を構えるまでの苦労とか、その中で俺を育ててくれたこととか、ずっと近くで見てきた。それをこれからは隣で支えたいんだ! 俺は……物心がつく時からずっとそう思ってた……だから」
と、ここで言葉が途切れた。
シスターが強く俺のことを抱きしめたから、驚いて言葉がでなくなったからだ。
「カイトの気持ちはすごく嬉しいよ……私が思ってる以上に育ってくれて……愛情を分かち合える人になってくれて……ほんとによかった……でもねカイト……わかってるの……? 私はもう……シスターである以上はカイトとじゃないと添い遂げられなくなっちゃったんだよ……? この言葉の意味をカイトは……カイトはわかってるの……?」
抱きしめ合ったままで顔が見えない。
でも、1つだけわかることがある。
すすり泣きで震える声と、震える身体の振動からそれは俺の心に深く伝わる。
シスターは今、果てしなく続く闇の中にいるかのような、とてつもなく大きな不安に押しつぶされそうになってる。
……冷静に考えて、俺がしたことはとんでもないことだ。
取り返しのつかない、とんでもないこと。
シスターはこれからもシスターとして生きていくと思う。
だけど、そこにはもう俺しかいない。
もしも俺がシスターから離れてしまうと、シスターには誰もいなくなる。
それが怖いのだ。
「……確かに俺はまだ子どもかもしれない。だけど! ……自分のやった責任はちゃんと取れるつもりだ! シスターがね、愛情いっぱいに俺を育ててくれたから、これまで一度も嘘なんかつかなかったよ。おねしょした時も、悪戯した時も、絶対に正直に話したもん。だからね、これだけははっきり言える。……俺はこれからも絶対に嘘はつかないし、これからはシスターのために強く生きる! ここに誓う! 一人前の男になるために頑張るから! だから……シスターのその責務ってやつを、俺にも一緒に背負わせてよ……シスター……」
シスターを抱きしめる手に力が入る。
顔は見えないがシスターは変わらず泣いている。
だけど、ふと気がつくと、シスターの身体の震えはおさまっていた。
「シスター、落ち着いた?」
「……ええ」
落ち着いたのかゆっくりとシスターは俺から離れる。
「これからも……信じてるからね、カイト」
目はいつものシスターに戻っていた。
優しさのこもった声に、俺は力強く「ああ!」と応えた。
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