初陣⑦
今、頷いた?
ってことは、このままおっぱいを触ってもいいってことだよな……?
だけどルルリィは頷きつつも、下を向いて歯を食いしばり、まるで何かを堪えるように必死な顔をしていた。
だけど、
……ごめん。
俺、強くなりたいんだ。
シスターを守るって決めたから。
だからそのためには、ルルリィ、君のおっぱいが必要なんだ……!
討伐クエストの招集に応じる前、執務室でしたコレットとの会話を思い出す――。
「いい? シスターを守るならカイトちゃんが強くならなきゃだめなの~! そのためにこれからは毎日おっぱいを触らないとね~」
「……わかった」
「でもね~ただ触るだけじゃだめかな~! ちゃんと人選はしなきゃね~!」
「んん? どういうこと?」
「シスターにはブラジャー出してあげたんでしょ~?」
「なっ!? どうしてそれを知ってるんだ!?」
「ふふ~ん! 秘密~! それでね~あの状況だと~やっぱりブラジャーを出すなら~ベーゼちゃんかピーちゃんの方がよかったんじゃないかな~って」
「おい! それはどういう意味だ? シスターじゃ役不足だって言いたいのか!?」
「違うってば~。も~そーむきにならないの~!」
「おま……コレットの言い方が悪いからだろ」
「はいはーいごめんね~。も~シスターのことになるとすーぐ感情的になるんだから~!」
「うるさい」
「シスターは『責務』で人を攻撃できないから~あの状況なら違う人だよねーってだけの話~。ブラジャーを出すことに関してだけ言えば~むしろシスターは適任なんだよね~!」
「……詳しく頼むよ」
「切り替えが早いと助かるね~! こほん! 例えばね~ブラジャーで強くなったその人の素質が魔法だけなら~ブラジャーを着ける資格はないの~。強化された魔法はその消費マナも多くなるからすーぐマナ切れを起こしちゃう~。戦地でのマナ切れは死に等しいからね~」
「……なるほど。だからあの時シスターは補助魔法で力尽きたのか。マナ切れなんて普段は絶対起こさないのに、魔法が強化された分消費マナが増えたから」
「そ~いうこと~! だ~か~ら~! 私がカイトちゃんの傍にいる時は~誰にブラジャーを出すのかは私が選ぶね~!」
「そういうことならわかった」
「聞き分けの良い子は好きよ~? あはは! ……それじゃあ皇女様の強化で増えたポイントを使って~ブラジャーの発現上限を1上げるでしょ~? それでブラジャーを出す相手は~ルルリィちゃんって子ね~!」
「ルルリィ? 誰だそれ?」
「水の精霊ウンディーネと契約してる子だよ~! 契約で行える精霊の使役は~精霊のマナで戦うからブラジャーと相性がいいの~! 使役中の精霊の強さも契約者に依存するから~ブラジャーで契約者は更に強くなって一石二鳥~! いーや! カイトちゃんも強くなるから一石三鳥~!? やったね~!」
「……はしゃいでるとこ悪いけど、そのルルリィって人がおっぱいを触らせてくれるとは限らないんじゃないか? ブラジャーの発動条件を俺の窓で見ただろ? そうやすやすとおっぱいなんか触らせてくれるもんか」
「へへーん! それならだいじょ~ぶ! もーすでに手は打ってまーす!」
「え?」
「討伐クエストのパーティにルルちゃんはいるから後は頑張ってね~! あ~! それから~戻るまでにはちゃんとブラジャーを出しておいてね~。でないと聖堂は取り上げるから~!」
「はあ!? おいおい。ブラジャーを出してこいって、俺、その子と初めて会うんだぞ!? おっぱいを触るなんて絶対に無理だから!!!」
「な~に言ってるの~! 何かの拍子でぱっと触っちゃえばいいじゃない~! カイトちゃんは強くなりたいんでしょ~? シスターを守るんだよね~?」
「はあ……あの、何か勘違いされてるようなので言っておきますけど――」
「それから後ね~」
「人の話を聞け。てかまだあるのかよ」
「パラスポアはカイトちゃんがトドメを刺してね~」
「はあ!? 俺が!?」
「心配はいらないよ~? そのこともすでに手配済みだから~!」
「絶対無理だと思うけど! そもそも俺はまだ戦えない――」
「強くなるんでしょ~!? や・る・の!」
「カイトちゃんにはできるから~! 淫魔の素質もあることだし~! だから今は強くなることだけを考えて~! 言いわね~?」
「でも――」
「言いわね~!?」
――覚悟を決めろ、俺!
コレットは無茶苦茶だけど、誰も見れなかった俺の窓を見た。それに皇女は俺に力を与えてくれた。むちゃくちゃな注文に文句を言いたい気持ちもあるが、今はとにかくシスターのために俺が強くならなきゃいけないんだ。
俺は、今からおっぱいを……触る!
いつの間にか周りの景色は緑から砂利と岩石に変わっていた。
山頂が近い証拠だ。馬車はずっと早い速度を保ったまま駆け上がる。
それとは対照的に俺はゆっくりと、ゆっくりと両手を前に出す。ふーっと息を吐きながら、正座からゆっくりと膝立ちしてルルリィに手を近づける。
同じく正座しているルルリィは軍服のスカートをぎゅっと握っている。
……嫌なんだろうな。
そもそも赤の他人におっぱいを触られるんだ。良いと思う人はいないか。
ほんとにごめん、と脳内で謝りながら、俺はルルリィの着る軍服の第一ボタンに手を掛けた。
「なっ!? 何をしてるんですか!? お、おっぱいを触るんじゃ、ないんですか……!?」と、ルルリィは身体を後ろに引き両手で胸を守った。
「え? そうだけど、そのためには服を脱がさないと」
「ど、ど……どうして服を脱がすんですか!? こ、このまま触れば……いいじゃない、ですか……!」
コレットから聞いた内容と違ったのか、ルルリィは訝しげに睨めつけてくる。
こんなに警戒されてしまったのなら、下手に取り繕うよりただ正直に話したほうがいいよな……。
「それだと意味がなくて……。俺の能力は、服の上からじゃなくて、直接おっぱいを触らないとだめなんだ」
「なっ……」
ルルリィは目を見開き、口をぱくぱくとさせている。
少しの沈黙。
その間、ただ馬車の駆ける音だけが耳に残る。
そして、
「えええええええええ!?」
と、なぜかコレットもハモるように声をあげた。
「カイトちゃん~!? おっぱいを触るって~服の上からワンタッチじゃないの~!?」
……だよな。
そうだよな?
やっぱり勘違いしてたよな?
そうじゃないと、人前でおっぱいをさらけ出して触れとか言わないもんな!
次、触ります。
R15はどこまで表現していいのかな。




