SS3 奔走するコレット①
時はカイト達がゴラス火山に向かった直後。
皇室にて。
「皇女様〜カイトちゃんは無事に出発しましたよ〜!」
「うむ。引き続き世話を頼む」
「はーい! ……それから皇女様~さっきカイトちゃんの窓を覗いてきました~!」
「どんな能力だった?」
「えっとですね~ブラジャーという、着用することで強くなる装備品を具現化する能力でした~!」
「ほう。ブラジャーとな?」
「たぶんプラちゃんがいつも着けてる胸当てみたいなものじゃないかな~? おっぱいを触ることで具現化できるみたいですし~」
「それは強いのか?」
「もちろ~ん! 威力についてはハーティちゃんの『測定』で確認していて~バンちゃんの報告とも合うので期待できますよ~!」
「……ふふ、そうか。実戦投入はいつからだ?」
「すぐにでもいけますよ~! パラスポアの経験値量で淫魔スキル『同調』を覚えることができそ~で~す!」
「フェルマーとの戦争には間に合いそうだな」
――――――
コレットの報告か続く中、事態は急変する。
「――妖魔は今なお力を蓄え続けている。やつの放つ妖力はいずれ魔族の生息域を超え、こちら側にも広がってくるだろう」
「それならど~してフェルマーと戦争するんですか~!? このまま魔王を放っとくとやばいんだよね~?」
「言ったであろう。魔王をまだ倒してはいけない。何事にも順序があるのだと」
「そ~でしたっけ~? 覚えてないや~! あははは~」
「……まったく。コレットときたら……。フェルマーが持つシルフ――」
バン!
と、勢いよく扉が開かれた。
フロムビッチが皇室に入るや「大変やわ皇女様! これを見てくれんか!?」と何かを差し出しながら2人に近づく。
「皇女様になんて言葉ことを~! ため口は私の特権なの~! 言葉を慎みなさ~い!」
「せや! すまんなコレットちゃん! ……この手紙を見てくれんか!? フェルマーから使者が来てこれをもらったんやけどな、内容がどきついんや!」
「コレット」
「はいはーい! ……フロムちゃん~その返答書は私が預かるよ~」
コレットはフロムビッチから返答書を受け取って読み始める。
すると次第にコレットの手がぷるぷると震え出す。
「皇女様……フェルマーが宣戦布告してきました……!」
「……なんだと!?」
――――――
コレットはフロムビッチを連れ、速足で自分の執務室へと向かう。
「フェルマーは明日にでもメルテンロザリに攻撃を仕掛けてまうんやろ!? バックには風の精霊シルフがついとんのやで!? 今すぐ戦ってみぃ、兵士の氷滴銃はおろかマナを応用できん下級兵士なんかへなちょこにやられるで!? 一体どないせえっちゅうんや!?」
「もう少し時間が欲しかったんだけどね~まさか宣戦布告されるとは思わなかったな~!」
「思わなかったな~! って言うとる場合かっ!? コレットちゃんどうすんの!?」
「ど~しよーか今考えてる~」
「シスターはもう出てる言うたかて到着に2日かかる! フェルマーの総攻撃は明日やで!? とてもじゃないが間に合わん!」
「アマちゃんならシスターが到着するまで前線を維持できるんじゃないかな~?」
「アマロアちゃんにそんな力量があるとは思えんけど。あの子はおっとりし過ぎや」
「こーなれば仕方ない~! カイトちゃんを投入しよ~!」
「カイトちゃんってシスターんとこにいたあのガキか? コレットちゃんは秘密兵器言うとるけど、全くそんな感じせいへんで?」
「そりゃあだってまだ強くないし~。ほんとは四代精霊をちゃんと使いこなしてからにしよーと思ったんだけどね~。……プラちゃん達がクエストから戻れば~そのまま部隊を編成し直してメルテンロザリに向かいましょーか」
「せやな。先行しとるシスターと合流した方がええやろし、すぐ出なあかんな」
「そーなると~誰にお留守番をしてもらおうかな~」
「最近はピタも物騒や。皇女様を守る戦力も置いとかなあかんで?」
「言われなくても分かってます~! ……ね~ね~セクちゃんに同行する兵士は誰か聞いてる~?」
「トワイライトちゃんや。セクシュアちゃん、めっちゃ気に入ってるみたいやで」
「じゃあその2人と~プラちゃんの同行はユキリちゃんでしょ~。私にカイトちゃんに~精霊の契約者がルルちゃんとタリヤちゃん。道中にイフリートの契約者を拾って~全員で9人かな~? ……いや! ライラちゃんもついてきそ~だから10人か~!」
「わいは行かんでええんか?」
「フロムちゃんはお留守番かな~。聖堂の管理を頼みたいかな~って」
「……はあ。ま~た雑用やんけ~。コレットちゃん、わいのこと嫌いやろ?」
「そ、そんなことないよ~? 大好きだよ~? ほらこの顔みて~? にこにこ~!」
「にこにこ~って言う言葉ちゃうやろ……」
2人は執務室に到着。
「それじゃ~馬車の用意をお願いね~! 速度を重視したいから小型を2台と馬2頭ね~!」
ガチャンと扉が閉まる。
置き去りのフロムビッチはため息を吐きながら来た道を戻る。
「わい、これでもまあまあ階級あるはずやねんけどなあ。……あの感じ、絶対雑用としか見てへんよな……」
――――――
執務室にて。
コレットは書類に目を通している。
「……あ~! フロムちゃんにフェルマーの返答書、処分するよーにいうの忘れちゃった~。ま~大丈夫か~。それよりもこれだよ~」
コレットは書類が山積みの机にため息を吐く。
「皇女様ってどーして重要な仕事は全部私にやらせるのかな~!? ぐあああ~! 手が足りないよ~!!!」
「急ぎの分だけ今やろ~」と大きく深呼吸する。
ふと、コレットは傍に置いた盆を見る。
「『交信』が来てるね~。誰かなあ」




