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SS2 皇女上申



 時はカイト達が聖堂でピタの兵士と戦闘を始めた頃。

 ピタ帝国の皇室にて。

 

「さて、余り時間がないので早速始めよう。プラトニカから申せ」


「はい、皇女様。まずは城下で起こっている人攫いについてです。魔法局に依頼していた調査結果が出ました。報告によると、犯行現場でマナの残滓を確認したとのことです。現在は引き続き魔法使用者の特定を急いでいますが、やはり皇女様のおっしゃる通り、犯人は魔物ではなく人間のようです」


「そうか。引き続き調査に当たれ」


「了解しました。それから、例のゴラス高山で花粉を蒔いている魔物パラスポアの件ですが、花粉に冒され狂暴化した魔物による被害が昨日で3人、延べ45人の死傷者が出ています。私としては一刻も早くこの件を討伐クエストに引き上げ、兵を募り対処すべきかと思いますが――」


「無視しておけ」

「し、しかし!」


「ピタは今、殆どの戦力をメルテンロザリに集中させている。貴重なピタの残存兵士をこれ以上減らすわけにはいかない。魔物学者の報告では、ゴラス高山に根付いたパラスポアはその繁殖期を12月の初旬と特定している。後1週間もすれば、パラスポアは狂暴化した魔物を引き連れて移動を始める。兵を失わずとも問題は自然に消えるのだよ」

「で、ですが皇女様! 帝国の何もしない対応に民も不信がっています! ならばせめて、私に討伐を命じては下さいませんか!?」

「ならぬ。プラトニカにはシスターとの合流後、メルテンロザリに向かってもらう」

「シスター……」

 

「そうだ。それでプラトニカよ、シスターの件はどうなっている? いつピタに帰属するのだ?」

「何度か交渉はしていますが、今だ承諾は得られず……ですが、近いうちには必ず――」


「その件について、私からご報告があります」

「申してみよ、セクシュア」


「はい、皇女様。2時間程前、シスターのもとに部下のフロムビッチを向かわせております。彼の手にかかれば、例えプラトニカ様が何か月ともこなすことができなかったシスターの懐柔さえ、本日中にやってのけるでしょう。そうすれば、すぐにでもシスターをメルテンロザリに派兵できます」


「そうか。では期待しておるぞ」

「ありがとうございます」


「プラトニカよ、他に申すことはないか?」

「いえ、ございません……」


「ではセクシュア、何か申すことはあるか?」


「はい皇女様。先日、レオンハルト様との密談を終えました。これまでの話では、フェルマー共和国との戦争勃発後、レオンハルト様が治めるバーゼルイスは中立不介入の立場を取ってきましたが、開戦後はピタに軍事支援をしてもらう密約に至りました。これでフェルマー共和国との戦争はより有利に進むはずです」


「そうか! よくやったな、セクシュアよ!」


「ありがたきお言葉でございます。……それからもう1つございます。城下内偵調査の報告から、ギルド連盟についての話が挙がっています。やはり民間人を通じて、ピタにもギルドを設立しようと企てる動きがありました。まだ水面下のためことは大きくありませんがいかがいたしましょうか」


「潰しておけ。ピタは何者にも縛られはせぬ」

「それはよかったです。実は既に揉み消しておきました。携わった者は地下の獄中にいます。なにか聞いておきたいことはありますか?」

「特にない。セクシュアは実に良き働きをしてくれる」

「ありがとうございます」


「……コレット」

「はいは〜い! お呼びですか~皇女様~」

「メルテンロザリへの移動の準備を進めておけ」

「了解しました~!」

 

「ではセクシュア、シスターと合流後、共にメルテンロザリに向かえ」

「あ、ありがとうござます! 皇女様!」

 

「……お言葉ですが皇女様、その役目は私、プラトニカではございませんか?」

「仕事ができる者に機会を与えるのは当然であろう。プラトニカにはセクシュアに代わり、明後日から始まる入隊試験の監督をしてもらいたい。将軍補佐の肩書に恥じぬようこれからも精進するがよい」

「……了解、しました……」


「メルテンロザリではアマロアが指揮を執っている。合流後は彼女のサポートを頼むぞ、セクシュア」

「お任せください! 皇女様!」

 

 

 ――――――――――


 

「ごめんなさいね。私って思いの外仕事ができるみたいで。でもいいよねー。羨ましいよプラトニカ。国を挙げての戦争中でもピタでゆっくりとお留守番ができて。あははは!」


「……何の用? セクシュア?」

「いーえ? 特に何もないわよ? ただ……プラトニカは普段から小さな結果のために一生懸命に頑張ってるのだから、ゆーっくりと休んで身体の疲れを癒してねって、労いたかったの……ぷぷっ」


「そう。それを言いにわざわざ私の部屋までいらしてくれたのね。ありがとう、セクシュア。あなたの気持ちはよくわかったからもう出て行っていいわよ」

「あーらそう? プラトニカは世渡り下手なんだね。愛想がないと嫌われちゃうよー? このままだと私が次期将軍に選ばれた時は、プラトニカは雑用係に降格しちゃうかもね~」


「はいはい、お好きにどうぞ。……それじゃ私はやることがあるから、部屋を出てってくれないかしら?」

「雑用係は大変ね~。あっははは!」

「…………」


「いいの~? プラちゃん~? セクちゃんにあんなこと言わせといて~?」

「コ、コレット様!? いつからそこに!?」

「最初から~」

「なら声を掛けてくださいよ~! お茶ぐらい出しますのに」

「えへへ~ごめんごめん~! ……プラちゃんの淹れてくれる紅茶がやっぱり一番だよね~」

「ありがとうございます、コレット様」




今日明日で後2話出します。




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