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能力覚醒③


 

 馬車は順調に進みピタに到着、町の中を通って城に入った。


 バンダックは「皇女と接見する場を作るからここで待つように」と、赤の間に俺達を通した。

 その後バンダックは車椅子で部屋を出ていった。


 もうすぐ皇女と交渉できる。

 俺が戦場に行くことになっても、シスターを行かせるわけにはいかない!


 その後、俺達は衛兵に案内され皇室へと入った。



「シスターか。久しいな」

「……お久しぶりでございます、皇女様」


 玉座に座る皇女は思ったよりも小さかった。

 薄い黄色の髪が照明でキラキラと輝いている。

 兵士が着ている赤茶色の軍服とは違い、濃い赤色のいかにもな恰好をしている。


 皇女と比べて相対的に玉座が大きく見えるのと、被っている王冠もデカいからか、皇女はより幼く感じた。

 

 何歳だろう? エマと同じくらい? いや、もうちょっと下か……8歳? いや7歳か?

 てか、皇女って俺より子どもなのかよ!?

 

「私に話したいことがあると聞いておる。申してみよ」

「ありがとうございます。皇女様にお願いがあってきました。此度の徴兵の件ですが、どうかこのまま聖堂にいさせてはいただけないでしょうか」


 シスターは頭を下げた。

 

「頭を上げよ。……シスターの配置転換を取り下げて、いったい私になんの得がある? まさか、代案もなしに話にきたのではあるまいな?」

「それは……」


「代わりに私が行きます!」

「お前は誰だ?」

「私は、東の島国から来ましたベーゼといいます!」


 「ほう。……コレット」と、皇女はすぐ隣にいる盆を持った女の子を呼ぶ。

 「はいはーい」

 

 皇女と同じ髪……姉妹か?


 盆の女はその盆から何かを取って皇女に渡した。


「私は力なき者の話は聞かないようにしている。今からお前にこのナイフを投げる。受け止めることができれば話を聞こう」


 皇女は座ったまま胸の前でナイフを構える。


 ……え? いきなり試すの?

 

 しかしベーゼに動揺はなく、既に札を構えていた。

 

 「ではいくぞ」


 手元を離れたナイフは、目にも留まらぬ速さでベーゼに飛んでいく。


 やばい! 早すぎてナイフが見えない!

 

 ベーゼは身体を横に躱し、何とかナイフを避けたみたいだった。

 振り向くと、入ってきた扉にナイフが刺さっている。


「ほう。避けたか。……だが受け止めることはできなかったわけだ。取り決めだ、お前はもう私に話しかけるでない」


「ベーゼ! 大丈夫か!?」

「……ええ。当たってないから大丈夫。だけどギリギリだった……。まるで弾丸だ……」

「たぶん魔法で速度を上げたんだ」

「ほんと魔法ってなんでもありね……」

 

 忘れてた。

 この子はピタのトップだ。

 見た目は子どもだけど、弱いはずがないんだ!


「話を戻そう。シスターの配置転換を取り下げて、私になんの利がある? 言ってみよ」

「利はありません……ですが、今戦争に行くと私は大聖女になれません。そうなれば、皇女様もお困りになるのではないですか……?」

「少し先延ばしになるだけだろう? 無論シスターの責務は心得ておる。不安なのは理解しているが安心しろ。戦地に赴くとはいっても、シスターには指一本触れさせはせん」


「ですが……」と言いかけたところで、シスターは口をつぐんだ。


 シスターはもう交渉の切り札はなしか。


 よし。

 なら、ここは俺が決める!


「皇女様! 俺からも提案があります!」

「カ、カイト!?」


 みんなが俺を見た。


「お前は誰だ?」

「俺はカイトといいます。シスターの代わりに俺が戦場に行きます!」

「カイトっ!? 何を言ってるの!?」

「皇女様、これは違います……! これは」


「待て」と皇女がシスターの言葉を止めた。


 少しの沈黙。

 それを破ったのは皇女の笑い声だった。


「カイトか……。もうそんな時期か。コレット、彼の覚醒はいつだ?」

「えっと~今日が12月9日だから昨日ですねー」

 

 覚醒……? 何の話をしてる……?

 

「昨日か。……コレット」と皇女は掌を出すと、コレットは盆からもう1本ナイフを取り皇女の掌に置いた。


「カイトと言ったな。私は弱者の意見は聞かぬ。言いたいことがあるなら、このナイフを受け止めてみよ」


 そういって皇女はナイフを胸の前に構え、そして投げた。


面白い! 続きが読みたい!


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