能力覚醒②
「……そうか。太刀筋や間合いの詰め方はよかったのだがな。いい兵士になれると期待したが、やはりシスターの魔法のおかげってことか」
シスターは頷いた。
「だとしてもすごいと思うよ」とベーゼ。
「不意をつかれたとはいえ、声をかけられるまで私も気づかなかったもん。私にもバンダックさんに勝てるくらいの強力な魔法がかかってるのにだよ」
確かに。
言われてみたらそうか。
俺の能力で強くなったとはいえ、一般的に補助魔法は基礎ステータスを元に能力が上昇する。
例えば、強さが100の人に魔法をかけると、その強さが120になったとする。
それから同じ魔法をベーゼみたいな最初から強い200の人にかけると、強さは240となる。
そう。
上昇効果は俺よりベーゼの方が高いはず。
だって俺鍛えてないし。
なので本来であれば、俺の不意の攻撃に反応できてもよかったはずなんだけど、そうはならなかった。
……そういえばこれと同じことが過去にもあったな。
それは、この冬に備えるため、みんなで薪割りをした日のことだ。
シスターは効率を上げるため俺達に魔法をかけた。
そして木を切り、運び、薪を割った。
丸太を切り落とした後、みんなは2人がかりで運ぶのがやっとだったが、俺は1人で運ぶことができたのだ。
その時は俺が男だからとか、魔法がかかりやすい体質だとかを思っていたが、今回のベーゼのことで、疑念は確信に変わった。
圧倒的に俺よりもベーゼの方が強いのに、結果的には俺が勝った。
これを説明付ける答えは1つしかない。
俺のポテンシャルがすごいからだ!
うん。
きっとそうに違いない!
「センスだよ」
「センス?」とベーゼ。
「俺には戦いのセンスがあるんだ。そうに違いない」
するとすぐシスターに「あるわけないでしょ。バカなこと言わないの」と返された。
「シスターなんか俺に冷たくない……?」
「冷たくありません」
「ほんとに……?」
「ほんとです」
ほんとなら別にいいけど……。
「あはは……。で、でも、カイトはさっきみたいに誰かと戦うなんてことは初めてなんでしょ?」
「もちろんだよ。今までずっと平和に過ごしてたもん」
「だったらやっぱりすごいよ。初めてで私の背後を取るなんて。怖くはなかったの?」
「怖い? いや、そういうのはなかったかな。やばいとは思ったけど、でもそれと同じくらいやらなきゃって思ったんだ」
「やらなきゃ、か。私がくノ一になる最初の頃は怖さしかなかったのに」
「すごいのはベーゼだよ。あんなすごすぎる衝撃波を出せるなんて」
「それもシスターの魔法のおかげだけどね。でも、そう考えるとやっぱりカイトはすごいよ。知ってる? 忍びはいついかなる時も、もちろん今も神経を張り巡らせてる。寝てる時でさえね。なのにその私を出し抜いたんだよ? もしかしたらほんとにカイトには戦いのセンスがあるのかもね」
「そ、そうかな……?」
照れ臭くなり、頭を掻いた。
「センスなんてありません。カイトは鈍感で気遣いも苦手だし、わがままだし、私がいないと何もできない子なんです。そんなカイトが戦いのセンス? あるわけありません」
シスター……?
なんでそんなに俺を貶すの……?
俺の心まあまあズタボロにされてってるよ……?
「あはは……」とベーゼは愛想笑いした。
「おいガキ、お前も試しに明後日の入隊試験受けてみないか? 案外いい線いくかもしれんぞ?」
「いい線なんかいきません。カイトは入隊試験は受けませんし兵士にもなりません。カイトには臆病な一面もありますから、いざというときは戦いから逃げます。なので兵士には向かないのです」と、俺の代わりにシスターが答えた。
「シスター、ちょっと言い過ぎじゃない……?」とベーゼ。
「言い過ぎではありません。事実だけを言ってます」
「そ、そうなんだ」
前に座るベーゼは、前屈みになり、「カイトも大変だな」とこぼした。
「怒るといつもこうなんだ」
「こうなんだってどういうこと?」
「いえ! なんでもありませんシスター!」
まずい! 俺がぽろっと出した言葉をシスターが拾ってしまった!
「こっちを向きなさいカイト。そしてちゃんと説明して。こうなんだってどういう意味なの?」
隣に座るシスターは俺の身体を揺さぶる。
「ほんとになんでもないんだって!」
「答えないと耳を引っ張るわよ」
「ぎゃーーーーー! もう引っ張ってるから! 痛いよシスター! ごめんなさいー!」
はっはっはとバンダックは笑い、ベーゼもつられて笑っていた。
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