能力覚醒①
ピタに向かうため、フリスとライラは2つの馬車を用意した。
前の馬車には兵士達を乗せてライラが御者をし、後の馬車には、俺、シスター、ベーゼ、バンダックが乗り込んでフリスが御者をする。
ここからピタまでは徒歩で2時間、馬車だと1時間もかからない。
バンダックをこっちに乗せたのは、移動の間にできるだけ情報を得ようとシスターが考えたからだった。
進む馬車の中で、早速シスターは質問を始める。
「ヴァネッサとピーナツの解放はどれくらいでできそうでしょうか?」
「そんなにすぐの解放は無理だ。いろいろと手続きがあるからな。ピタに送った時点で俺がどうこうできる問題じゃない。諦めろ」
「そうですか……。では、ヴァネッサをピタに送った方法を聞いてもいいでしょうか?」
シスターが言うには、ヴァネッサは目の前からぱっと消えたという。
「これだよ」と、バンダックはポケットから灰色でヒビの入った石を取り出す。
ヒビからは青い光が漏れている。
あの青い光はマナかな?
ってことはピーナツの銃みたいな、何らかの魔導具なのかもしれない。
「帰還石といってな、これを割ることで即刻ピタにワープすることができる」
「便利な代物ですね」
「まあな。まだまだ改良の余地は残されてるが、便利なアイテムだよ」
「なるほど……それでピーナツも……」とベーゼ。
それを見てバンダックが「それでお嬢ちゃん、この札はいつ外してくれるんだ? 今は仲良くピタに向かってるんだからそろそろ外してくれてもいいだろう?」
「ごめんなさいバンダックさん。その札はもう外せないの」
「なぜだ? 東国についての研究は進んでて、お嬢ちゃんが使う気についても学習したが、自分の気なら調整できるんじゃないのか?」
「それはそうなんだけど……恥ずかしい話、その札には相当な気が込めてあって、今の私じゃシスターの魔法がないと扱えないみたいで……あはは……」
ベーゼは作り笑いで頭を掻いた。
シスターはマナを切らしてる。
身体のマナが枯渇すると当然魔法は使えない。
休息か回復アイテムを使うまでは、シスターは魔法が使えなくなった。
だけどシスターには治癒魔法がある。
今のところシスターとノエルだけが使える慈教の治癒術は、大聖女マーテルの恩寵により詠唱するだけで何度でも使える。
戦場にシスターがいるだけで何千人もの兵士を再起可能とする、まさに最終兵器!
ピタが戦力に組みたがるのも頷ける。
「だ、だけど効果が切れたら自由になるよ! なのでそれまでは待ってほしい……なんて、あはは……」
「……後どれくらいだ?」
「気を込めた感覚で3時間強だから、後2時間くらい……かな?」
「2時間!? おいおい、そりゃないぜ……」
バンダックはやれやれと首を振った。
「そういやそこのガキ」
「な、なんだよ?」
急に話かけられるとは思わなかった。
「お前も戦えるクチか?」
戦えるかだって?
戦えねーよ!
でも待てよ、今はシスターの前だし、ここは戦えるって言っとくほうがいいか……?
「当たり前だろ。俺だってシスターを守るために戦うんだ」
今の俺、最高にかっこよく映ってるんじゃないかな……!?
「カイト」とシスター。
「あなたは戦わなくていいの。危険なことはしないでって約束したでしょ?」
「はい……」
これじゃダサすぎる……。
「だけどシスターさんよ、このガキ、森ん中でものすごい速さで俺に攻撃しようとしてたぞ?」
実際にはベーゼに攻撃するところだったんだけどな……。
ってあれ? なんでバンダックはこのこと知ってるんだ?
もしかして煙の中見てたのか?
「それは私の魔法のおかげです。カイトは普通の男の子。体格もよくはないし、筋肉もない。性格も控えめで戦いをまず好まない。他の子よりも優れてるのはスケベな一面だけで、他のことは全て劣っています。全て」
「全て?」
「はい」
ええええええ!?!?
ちょ、ちょっとまってシスター!? そこまで言うの!?
俺、なんか悲しくなってきたよ……。
面白い! 続きが読みたい!
もしもそう思われましたら、
ぜひとも下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
最高なら星5つ、最悪なら星1つ、読者様のお気持ちをお教えくださいませ!
ブックマークもいただけると嬉しいです><
どうぞよろしくお願いいたします!




