表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/49

話し合い②


 「――およそ2週間前の夜、ノエルは帰ってきたの。


 その時のノエルは黒いフードに身を隠し、ピタの今の状況とこれから私達が取るべき行動を教えてくれたわ。

 

『ピタは今、戦争の準備を進めている。既にシスターの配置転換は決定事項となっていて、近いうちシスターに軍令が下る。そして、もしも慈教の治癒魔法を軍事的に利用すれば、戦争が激化しより多くの血が流れることとなる』


 ノエルはそれを避けるため、私に避難計画を提案してきたの。いずれ私が連行されるであろうその日に、私をピタから解放して亡命の手助けをするという計画……。

 

 ノエルは前線での活躍によってある程度の自由は保障されていた。だけどこの計画には1つの大きな壁があった。それは、私が亡命したその責任をノエルが取るということ。


 ピタの国土は広く、確実に亡命するためには、ノエルがピタに残って最大限に悟られないよう工作する必要がある。当然そこからノエルが逃げるなんてことはできない。この避難計画はノエルの命の上にあったものなの」


「そんなことが……」


 ふと、馬車でエマとのやりとりを思い出した。

『なんで戦争はなくならないのかな……』と俺が言うと、エマは俺に身体を預けてくれたのだ。

 

 てっきりそれは俺を慰めようとしてのことだと思ってた。でも、もしかしたら本当は自分のやってることに苦しむサインだったのかもしれない。

 エマは亡命の準備を進めてる。それが完了すると実の姉さんを失うことになるから……。


 でもこれでノエルが死ななくて済むなら、結果的によかったのかもしれない。

 さっきのフリスの反応からみても、絶対そうに違いない。

 ……よかったな……エマ。

 

「だけど、ノエルの手を借りずに国境を超えることは極めて難しい。なので私は2つ目の選択肢を選ぼうと思います」


 フリスは下を向いている。

 ベーゼはずっとシスターを見ている。


「2つ目の選択肢って何……?」


 なんだろう。

 嫌な予感がする。


「ピタの配置転換を受け入れるわ」


 ……え?

 

「それってまさか……!」

「ええ。私も前線に行こうと思う」


 ……やっぱり!


「シスターには戦争に行ってほしくないよ! そ、それに戦争に行くと『シスターの責務』はどうするの!? 破ってしまうんじゃないの!?」

「前線と言っても直接戦うわけじゃない。安全なところで祈りを捧げるだけよ」

「攻めてきたらどうするの!? だめだよやっぱり! 何か……何か他に取れる選択肢はないの!?」

「ないわ。私達は、ピタに従うかピタから逃げるかのどちらかよ」

「そんな……」


「こんな時にまた戦争を起こそうとするピタの動向が全く読めない。だからほんとは行きたくないの……。でも、ピタの国境から無事に出る術を私は知らない。私はカイトやみんなの安全を今は考えたいから、私は前線に行くわ」


「シスター……」


 止めたい。

 何か言わなきゃ……! じゃないと、シスターが戦争に行ってしまう!

 何か言わなきゃ!

 

「ちょっと待って」とベーゼが口を開く。

 

「戦争を起こすってシスターは言ったけど、今も戦争中だよね? それは魔族に総攻撃を仕掛けるってこと?」

「違うわ。……ピタは、ハイマー共和国と戦争するつもりよ」


「なんですって!? ピタ帝国が戦争って……ちょっと待ってよ! 今は人間対魔族の戦争中だよね!? なのにどうしてピタ帝国が違う国と戦争するのよ!? 意味が分かんない!」と立ち上がる。


 確かに。

 ベーゼの意見はもっともだ。

 種の存続がかかったと言っても過言ではないこの大事な時期に、何故人間同士が戦争を起こす?


 理解できない。


「ピタの考えてることはほんとに分からない。2ヶ月前、前線基地があるメルテンロザリで起こった暴動はピタが起こしたのよ」

「嘘……そんな……」


 ベーゼは椅子にうなだれた。


 おいおい、嘘だろ!?

 ノエルが巻き込まれたっていうあの暴動、主犯はピタなのかよ!


 即日徴兵といい、暴動の主犯といい、なんでこうもピタはやりたい放題なんだよ!

 

 くそ! 何もできないのが悔しい。

 それからピタがうざすぎる。

 もう、構ってくるなよ……。

 

「どうしてピタはここまで干渉してくるの!? シスターは放浪してここに来ただけなのに、なんでこんなにもピタは構ってくるの!?」

 

 シスターと目が合う。


「シスター! カイトにはまだ……」

「いいえフリス。もう話すべきよ」


 ……何? なんの話……?


「放浪の身であった私に、ここを提供してくれたのがピタなの」

「……え?」

「聖堂を使う条件は1つ。それはピタに従属すること。この世界において、新興の宗派が聖堂を持つことはほぼ不可能に近い。だから私は、聖堂を手に入れるためにこの話を受けたの」


 おいおい……それってまさか……。


「私も、ピタの人間よ」

「えええええええええええええええええええ!?!?!?」


 嘘だろ!?

 シスターがピタの人!?


 じゃあさっきピタと戦ったのは……思いっきり反逆行為じゃん!!!

 

 ピタは許してくれるかな……?


 って待て待て。

 さっきまで俺はピタにムカついてたんだ。


 別にこれぐらいしたって、罪には……なる。

 うん、なってしまうな。 

 

「私はピタに抗えない。徴兵を引き延ばすことだけが私のできる最大限の抵抗なのよ」

 

 やばいどうしよう。

 頭の中ぐちゃぐちゃだ。

 もうどうすりゃいいんだよ……。


 このままだと、シスターが戦争に行ってしまう!!!


 と、ここでフっと閃く。

 

 ん、待てよ……?

 

 ほんとに選択肢は逃げるか従うかだけなのか?

 

 いや違う。

 まだ手はある……!


面白い! 続きが読みたい!


もしもそう思われましたら、


ぜひとも下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします


最高なら星5つ、最悪なら星1つ、読者様のお気持ちをお教えくださいませ!


ブックマークもいただけると嬉しいです><


どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ