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話し合い①


 シスターは聖堂内で散乱した瓦礫を集めていた。

 俺に気づくなり両手を広げたので、俺はシスターの胸の中に飛び込んだ。

 するとシスターは強く抱きしめ返してきた。


 その後、場所を家の大部屋に変え、各々が話し合いのため席に着いた。

 

 その間、ライラが別室で札付きの男と兵士達を見ている。

 もちろんシスター達は『責務』によって人を拘束できないので、シスターは話し合いの猶予が欲しいと懇願、札付きの男がこれを了承するという形となった。


 尚、俺達や兵士達の傷は、既にシスターの治癒魔法によって治っている。


 食卓を俺、シスター、フリス、ベーゼが囲う中、シスターが口を開いた。

 

「まずは事の経緯として、何故ピタと戦うことになったのかを聞いてもいいかしら?」と、シスターは俺を見た。


「聖堂から逃げる時に、エマからノエルの避難計画を聞いたんだ。でも俺、シスターにはこれからも聖堂にいてほしいんだ。聖堂を失って、また前のように過酷な旅に出てほしくなかったから、ベーゼやピーナツと一緒に戦ったんだ」


続けてベーゼが、「私はピタ帝国では実力が全てだと聞いてて、それでどうしても自分の力を試してみたくなったの。ピーナツはここにいないけど、彼も同じ気持ちだよ」


「そうですか。……ベーゼさんのその恰好はあまり見慣れないのですが、どちらからいらしたのでしょう?」

「ここからだと東かな? 島国のアキズっていう忍びの里から来たよ」

「それでは、ピタの実情は知らなかったのですね。わかりました。……遅くなりましたがベーゼさん、助けていただいてありがとうございました」と、シスターは深く頭を下げた。


「それからカイト」

「何?」

 

 これは俺も感謝される流れかな? わくわく。


「どうしてこんな危険なことをするの?」

「……え?」

「カイトの気持ちはすごい伝わるよ。私のために行動してくれたんだって。でもね、今回のことでもしかしたら命を落としてたかもしれないんだよ? わかってるの?」

「……ごめん」

「いくら私のためだといっても、こんな危険なことは二度としないで!」

「わ、わかったよ……ごめんなさい……」


 ……確かにシスターの言う通りだ。

 今回はたまたま上手くいったから誰も死なずに済んだだけ。


 ピタの兵士は普通に銃を撃ってたし、あの男の実力も相当だった。


 俺だけならまだしも、シスターやフリス達にも危険が及んだかもしれないんだ。

 ちゃんと反省しないとな……。


「カイト」

「……何?」

「それでも、助けてくれてありがとね」


 シスターはにっこりと俺を見た。


 ……うう。

 

 目に涙が込み上げてくる。

 

 ごめんよシスター……心配かけて……。

 俺、次はちゃんとやるから……。

 

 俺は弱い。

 弱すぎる。

 

 シスターを守るためには、もっと強くなる必要がある。

 誰にも負けないぐらいに。

 ピタに負けないぐらいに。

 

 もっと強くなるから……絶対に強くなるから……!


 その後はベーゼも謝ってた。

 俺は自分のことでいっぱいだったから、ベーゼがなんて言ってたかは耳に入ってこなかった。

 

「はい! 反省はおしまい」とシスターは手を叩いた。

 

「では次にこれからのことを話しましょ! 過ぎたことは仕方ないけど、この一件でピタは私達を捕まえる大義名分ができたわ」

「……大義名分? どうして?」

「ピタに逆らったからよ。ピタ帝国は1人の皇女が治める軍国主義の国。ましてや今は戦争中、ピタに歯向かうだけで軍令違反、即牢屋は避けられない」

「そんな……」


 冷静に考えれば、さっきしたことはピタに剣を向ける行為だもんな……。シスターのためとか言っときながら、結局はシスターに迷惑かけてる。

 

「私達の取れる選択肢は2つあります。……1つ目は今日この国を出ること」


 フリスは黙って頷く。

 ベーゼはただシスターを見ていた。

 

 ……やっぱりそうなるよな。

 こうなるなら、やっぱりエマの言うことを聞いとけばよかったのかもしれない。


「カイトはエマから避難計画のことを聞いてるのよね?」

「うん。一度ピタに捕まって、その後ノエルが助けてくれるんだよね」

「そうよ。だけど今はピタに捕まってないから、亡命するのにノエルの手助けは必要なくなった」


「シスター! それってつまり……」と、突然フリスが口を開く。

「ええ。ノエルの立場は保たれる」


 ……んん?

 どういうこと?

 

「カイトのおかげだよ。やったね!」とフリスが言った。

「え? 待って、どういうこと?」


 「……そうね、カイトにも話しておきましょうか。ノエルが来た時のことを――」

 


 

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