襲来⑥
聖堂の扉は閉まっていた。
……おかしい。
確かおばあちゃんと出たときは開きっぱなしだった。
まさか、もう制圧されてしまった後なのか!?
俺達は聖堂の外壁に身体を預け、音を殺しながら扉横まで移動するも、扉は完全に閉まっているために中の様子がわからない。
「正面突破あるのみじゃない?」
「だめだよベーゼ。迂闊に入っても、誰かを人質にされちゃうと攻撃できない」
「カイトの言う通りだ。……ねえ、あの窓から中を覗けるかな?」
「いいアイデアじゃない! さすがピーナツね」
俺達は窓のある場所まで移動する。
が、窓は3m以上の高い位置にあった。
そこで俺はピーナツに頼み、肩に上がって中を覗いた。
「なんだよこれ……聖堂の中がすごい無茶苦茶になってる……」
「状況は?」
「もう制圧されてしまってる。シスター達は真ん中に集められてるね」
「兵士の人数は?」
「ちょっと待って。……7人、いや8人だ」
「3対8かあ。正攻法でいくとやっぱり返りうちかな?」
「だと思う。……ねえカイト、その窓って開くの?」
「いや、固定されてて開かない」
「正面以外に中に入れるところはあるの?」
「香部屋にもあるけど、普段は使わないから今も鍵が掛かってると思う」
「なら狙撃ポイントは正面だけだな。カイトは戦えないんだよね?」
「うん……」
「それじゃあ陽動も兼ねてベーゼが1人で突撃するってことになるけど、いけるか?」
「もちろん! 初めからそのことしか頭にないよ!」
「オーケー。そしたらベーゼが突撃で僕が援護する。それでなんとか隙を作るから、カイトは自分のタイミングでシスターのとこに向かってくれ」
「わかった」
「ピーナツ、わかってると思うけど、もしも兵士が残り1人になったら私にタイマンさせてね!」
この状況でタイマンも考えるとか、どれだけ戦い好きなんだよ。
「ほんとに大丈夫なの……?」
ちょっと心配になってくる。
仮にも相手は兵士だ。
それも複数人がいる中、1人で切り込んでいくのだ。
俺なら即刻アウトだ。
「これでも私は13年忍びをやってるからね~! こういうことには慣れてるよ~」
「それならいいけど」
と、その時、中で動きがあった。
「……待って! やつら動いた! シスター達を……告解部屋に連れてく気だ!」
「その部屋の場所は?」
「ここの反対側だよ」
「ってことは、正面から見て左奥ね」
「まずい! 兵士が出てくる! 一旦隠れよう!」
ピーナツの肩から飛び降りた後、俺達は聖堂の側面に向かい隠れた。
扉が開き、中から2人の兵士が出てきた。
あいつは……!
ヴァネッサを撃ったやつだ!
「やっとシスターを手に入れましたね」
「はーーー。ほんまやで! 戦時中や言うてんのに、いつまでも生ぬるいやり方しとるからこんなに遅なるんや」
「でもいいじゃないですか。手柄がまた1つ増えたことですし」
「物は言いようやな。ほなわいは先に戻るわ。セクシュアちゃんにちゅっちゅしてもらわなあかんし。後のことはバンダック任せたわー」
「了解しました、フロムビッチ様」
「1人は帰るみたいだね。これで3対7か」
「ああ〜楽しくなってきた〜! ……じゃ、もう行くね!」
「あ! ちょっとベーゼ!」
「ピーナツ! 援護は任せたよ~!」
ベーゼは意気揚々と走り出す。
やれやれとばかりにピーナツは銃を抜き、「カイトは自分のタイミングで中に入ってね」と言いベーゼに続く。
……よし、俺も行くぞ。
男を見せるんだ、俺!
扉横につくと既に戦闘は始まっていた。
開いた扉からピーナツは銃で何発も撃っている。
ピーナツの銃は少し変わっている。
機械仕掛けのような見た目で、引き金の代わりに水平の歯車が1枚付いている。
引き金を引くと歯車が1段動き、歯車の歯が剥き出しで付いてる青い球にカチンと当たる。
その衝撃で魔法の弾丸を生成する仕組みらしい。
機械仕掛けが魔法で動くという、なんとも魅力的でむちゃくちゃかっこいい銃だ。
「撃ち合いになるとこっちに部があるね。こっちは向こうと違い、弾の装填は必要ないからね」と、ピーナツは絶えず撃ち続ける。
今やピーナツと中にいる兵士によって、聖堂内では銃撃戦が繰り広げられている。
兵士の撃つ弾が壁や扉に当たると、その部分がみるみると凍っていく。
氷の弾か……。
当たるとヴァネッサみたいに氷漬けになってしまうのだろう。
さすがに今は無理だ。
機を見て中に入ろう。
というかこの状況、中にいるベーゼは大丈夫なのか?
そっと中を覗き込むと目を疑った。
ベーゼはぴょんぴょんと聖堂内を飛び回り、兵士の撃つ弾を舞うように避けている。
すごすぎる!
補助魔法も掛かってないのに、素であの身体能力は高すぎる!
ベーゼは攻撃を避けるだけではなかった。
手に何かを持つと、隙を見てそれを投げる。
それが兵士に命中すると、兵士はバタっと倒れた。
「ベーゼはああやって札を投げて攻撃する。札はただの紙だけど、その切れ味は僕が保証するよ」
すごい……!
この2人、むちゃくちゃ強い!
これならほんとにシスターを救えるかもしれない!
ベーゼは戦場で舞い、ピーナツが銃で援護する。
その連携がうまく決まり、兵士は1人また1人と倒れていった。
「兵士は後4人! いいねいいね〜! 私戦えてるじゃん!」
「お前達は何者だ? この国でピタ帝国に背くとはいい根性じゃないの」
ヴァネッサを撃った男は、銃に弾を装填し終えるとベーゼに狙いを定めた。
「私はベーゼ! ピタ帝国に入隊希望のくノ一で~す!」と、挨拶しながらもベーゼは自分から攻撃を仕掛けた。
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