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襲来⑤


 「スキルオープン」

 

 スキルツリー

 ブラジャー発現(上限回数1。残り0)

 振り分け可能ポイント2

 1日あたりの回数上限値+1(必要ポイント3)

 新スキル、隆起の習得(必要ポイント2)

 新スキル、沈降の習得(必要ポイント2)

 

 シスターが危険なこの状況、能力を出し惜しみしてどうなる?

 現状を打破できる可能性があるなら、新スキルを解放するなら今だ!

 

『隆起』を選択すると窓には、「一度選択するとキャンセルができません。それでも選択されますか?」と出る。


 はい。

 ピロンと音が鳴り、窓には、「隆起を習得しました」と表示された。

 

 よし! まずは覚えた! 確か効果は……。


 隆起:対象者のステータスが恒久的に向上する。強化の度合いはブラジャーの着用時間に比例する。同日の重複は不可


 これでシスターやヴァネッサを強化できる。

 どれだけ強くなるのかは未知数だけど、それでも試す価値はある!


 もちろん他にも問題はある。

 実際、あいつらを追い払えるだけ強くなれたとしても、シスター達は責務によって『攻撃できない』。

 そう、倒せないんだ。


 だから結局、俺がこの戦いに参戦したところで状況は変わらない。


 でも。

 もしもこの2人が戦ってくれるならどうなる?


 シスターの責務に関係なく、くノ一やピーナツヘアーは敵を攻撃することができる。

 それはつまり、勝てるチャンスがあるということだ。

 

 ならやってやる!

 シスターを守るためなら、なんだってやってやる!

 

 そもそもだ。

 エマでさえこの避難訓練を把握しているということは、俺だけが守られるべき存在だというのがシスターの考えなのだろう。

 

 ……少しずつ証明するよ。

 そしてその考えを改めさせる。


 今は人の手を借りないと戦えない。

 でもいつかはきっと、シスターを守るのは俺だと証明してやる!


 だから待っていてくれ……! シスター!


「待ってくれ!!!」


 2人は振り返る。

 俺が馬車から飛び降りると、エマは不安そうに「……カイト?」と漏らした。

 

「俺も行く!」


「な、何言ってるのカイト!?」

「エマ、聞いてくれ」

 

 エマは俺を見ている。

 今にも泣きだしそうな顔で。


「ノエルの助けがあれば無事に国を出られるかもしれない。でも、シスターにはもう苦労はしてほしくないんだ。……もしここでシスターを助けることができれば、他に道があるかもしれない」


「ちょっと待ってよ! ここで追い返しても、この先ずっと状況は変わらないのよ!? それにどうやって抑え込むの!? あんたに何かあったら、困るのはシスターなんだよ!? わかってるの!?」


「状況が変わらないからって、それが助けない選択にはならない!」

「カイト……」


 エマは馬車から飛び降り、俺の前に来た。

 

 そして、「このすかたん! ばか!」と頭を叩いた。

 

「えええ!? なんで!?」


「戦えないあんたがどうやって倒すのよ!? ……まさか、この人達に頼りっぱなしってわけじゃないでしょうねえ!?」

 

「違う、違うよ! いや、助けては貰うけど! ……俺の能力を使うんだ!」


「あんたの能力……? ブラジャーだっけ? そんな戦えもしない能力で、あんたはどう戦うのさ!」

「シスターを強くできるかもしれないんだ!」


 そりゃ、どれだけ強くなるかはわからないよ。

 でも、倒せるかもしれないって思うと、どうしてもやってみたいんだ。


「失敗したらどうするの?」

「その時はノエルに助けてもらう」


 もともとそういう予定だったし。

 

「ばか! 結局助けてもらうならやめときなよ!」

 

「嫌だ!」

「嫌だってわがまま言うな、ばかカイト!」と、また叩いてくる。


「痛いって! ……とにかくもう決めたんだ! エマは失敗しても大丈夫なように脱出の準備を進めてよ! 俺はこの人達と行くから! って、痛いから! おい叩くのやめろよ!」


 俺はエマの両手を振り払った。



 俺はエマと別れ、2人と共に聖堂を目指す。

 

「私はベーゼ。こっちはピーナツよ。よろしくね」

「俺はカイト」

 

「バックアップは任せてね。私達もちゃんと強いから!」

「ありがとう!」


 ある程度のことは2人に話した。

 俺がシスターとヴァネッサに『隆起』を発動する間、攻撃されないように時間を稼いでほしいと。

 

 この戦いの勝ち筋は、強化されたシスターの補助魔法にある。

 補助魔法のバフの強さは術者の唱えた魔法の強さに比例する。

 

 隆起の説明文では、『対象者のステータスが恒久的に向上する』とある。

 俺の予想が当たっていれば、隆起でバフも強くなるはずだ。


 ここにきっと、活路はある!



面白い! 続きが読みたい!


もしもそう思われましたら、


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