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襲来③

 

 

「これで全員だよ、エマ!」

「ありがとう! ……さあ、おばあちゃん、一緒に馬車に乗りましょうねー」

 

 エマがおばあちゃんに手を貸すと、俺はすっと離れた。


「エマ、シスター達が大変なんだ。俺戻るよ!」

「だめよ! 戻って!」

「でも!」

「戦えもしないのに戻ってどうするの? シスターを困らせないで」

「だけど……このままじゃ!」


「カイト! いいから手伝って! シスターにも言われたでしょ。みんなを避難させてって」

「……わかったよ」

 

 俺はしぶしぶおばあちゃんを支えた。

 

 先に出た人達は既に馬車に乗ってここを離れたみたいだ。

 残り1台となった馬車におばあちゃんを連れていく。

 

「……あれ? 馬車には誰も乗ってない?」

「襲撃してきた兵士達も乗ってきたってことだね」

 

 あいつら……。

 ぎゅっと拳を握る。


 簡易の階段をおばあちゃんが登り終えると、エマも続けて馬車に乗った。

 

「ほら! カイトも乗って!」

「……え?」


 なんで俺も乗るんだ?

 まさか、逃げるのか……?


「早く乗って!」

「みんなを置いていけない!」

「ここに残っても何もできないでしょ!? それに、これはシスターの判断なのよ。だからちゃんと従って」

「シスターの判断?」


 ……どういう意味?


「説明は後。それよりも、カイトが乗らないならこれを使うしかないね」


 エマは懐から短く木でできた杖を取り出した。

 

 エマは上手く魔法が扱えないため、魔法の発動に補助的な役割を果たす杖を使う。

 とはいえ、魔法が使えない同じ年の俺とは違い、魔法が使えるってだけですごい。


 エマは火系統の魔法を使う。

 どれだけ弱い魔法でも、火傷以上のダメージは確実だ。

 

「……わかったよ」

 

 俺も馬車に乗り込むと、エマの「行って!」で、馬車は出発した。



「シスターが攻撃魔法を使えない理由はわかる?」

「シスターの責務だよね」

「そう。『人に攻撃してはいけない』という責務を守るため、シスターは攻撃魔法を覚えていないの」


 シスターの役割は人を癒す仕事。

 だから攻撃しちゃいけないってことなのか。


「じゃあ今みたいに襲撃されても、自分達を守るために防衛として反撃することもだめなの?」

「そう。ルールは絶対で例外はない」

 

 そんなのおかしい。

 それじゃただのやられ損だ。


「だったら尚更助けなくちゃ! このままだとシスター負けちゃうよ!?」

「……負けるよ」

「わかってるなら助ける方法を考えないと! ただ逃げるなんてできないよ!!! ……そうか、ピタに行って誰か助けを呼ぶんだね?」

「そんなことしない。第一、シスターを攻撃してるのはピタの連中だよ。帝国に盾突く物好きはそうはいない」

「だったらなんで……どうしたらシスターを助けられるんだよ……!」


 昨日、シスターに直接守るなんて言っときながら、事が起きたら逃げてるだけ。

 あんなに大口切って強くなるから! なんて言っても、結局この程度なんだ。


 俺っていったいなんなんだ……。


「そう落ち込まないでカイト。こうなることは少し前からわかってたから」

「……え?」

「でも、だからって状況がよくなるわけでもないけど、でも誰も傷つかないように避難訓練はしてたから」

「避難訓練?」

「そう。変な話だけど、これは予定通りなの」

「予定通り? やられることがそうなの?」


 意味が分からない。

 予定通りってことは攻めてくることがわかってたわけだろ?


 でも実際はやられてるだけ。

 これのどこが予定通りなんだ!?


「……いい? よく聞いてカイト。私たちは今夜、みんなを助けてここを発つ」



面白い! 続きが読みたい!


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