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襲来②


 

「みなさん、こちらから避難してください!」

「エマ! 俺も何か手伝う!」

「ありがとうカイト! 奥の香部屋と告解部屋を見てきてほしいの!」

「わかった!」


 俺は壁伝いに聖堂の奥へと向かう。

 

 聖堂は出入口が1つの縦長造りになっていて、扉を開けてすぐの広い聖堂、奥右端には香部屋、そして奥左端には告解部屋がある。


 まずは香部屋を覗くが誰もいない。

 次は告解部屋だ、急げ!


 聖堂ではシスター達が激しく戦ってる。

 というより、シスター達は兵士の攻撃を一方的にさけてるだけだった。


 聖堂内は一気に戦場と化した。

 物がぶつかったり、火が出たり、煙があがってるどころの騒ぎではない。

 たくさんの長椅子が宙に浮いたり、至る所の床や壁が凍っていたりと、いろいろカオスだ。


 やりすぎにも程があるだろ!?

 

 告解部屋には1人の老婆がしゃがみ込んでいた。

 

「おばあちゃん!? 大丈夫!?」

「すまんのう……。逃げ遅れてしまったわい」

「さあおばあちゃん、俺の手を握って! ここは危ないから一緒に外に出よう!」


 おばあちゃんが杖をつくそのペースに合わせながら、俺は戦闘の様子を見つつ壁沿いに歩いた。


 男達はナイフを振り回してメイド達を追い詰めるが、軽快に身を躱している。

 シスター達を包む白いオーラが、人間離れした行動を実現する。

 

 シスターの補助魔法が効いてる!

 

「バンダック! 多少の傷はやむを得ん! 直接氷滴を撃て!」

「あいあいさー!」


 男は銃を撃つ。

 弾がシスターの足をかすめると、そこから氷が広がりシスターの足が固定された。


「痛っ!」


「直狙いオーケーならこんなもんよ」

「ナイスやバンダック!」


 ……シスター!? あのやろう……!


 一瞬我を失い、シスターに駆け寄ろうとすると、支えていたおばあちゃんがバランスを崩しそうになった。


「ごめんねえ。私、脚がよくなくてこれ以上速く歩けないの」

「大丈夫だよおばあちゃん、ゆっくりで……。俺が最後まで連れていくから」

「ありがとうねぇ」


 ……くそ!

 あいつらシスターに手ぇ出しやがって!


 俺も戦えたら、シスターを守れるのに……!


 何なんだよ俺の能力は……。

 全くなんの役にも立ってない……。


「シスター! 大丈夫ですか!?」


 ヴァネッサがシスターに駆け寄ると、凍った部分に手を当てる。

 すると、みるみる氷は溶けてシスターは解放された。


 ナイスだヴァネッサ!


 ヴァネッサは水系統の魔法を得意とする。

 雪国で育ったためか、特に氷の扱いに長けている。

 

「やるじゃないお嬢ちゃん。ならこれはどうかな?」


 男は弾を連発する。


「シスター危ない!」


 ヴァネッサはシスターの前で両手を広げる。

 弾は全弾ヴァネッサに命中、途端にヴァネッサは氷漬けになった。


 ヴァネッサ!!! くっ、ヴァネッサまで……! くそっ! くそっ!!!

 俺は苛立つ。

 自分の不甲斐なさに。

 

 なぜ俺には戦う力がないんだ……!

 

「ヴァネッサ!」とシスターは叫んだ。

 

 氷はみるみる溶けていき、ヴァネッサの顔の部分だけが完全に解凍された。


「シスター、私は大丈夫です。ですがもう戦えません。弾が身体を貫いてるので、他の氷を溶かすと流血がひどくなり処置に時間がかかります。申し訳ございません……」

「いいのよ。今は自分の身体を優先してヴァネッサ。後は私がなんとかするから」


「わっはっはっは! 女にしてはよくやったなあ! なあに、殺しはせん。お前も立派な兵士にしてやるからよ」


 俺はそんな耳障りな笑い声を聞きながら、おばあちゃんを外に連れ出した。


面白い! 続きが読みたい!


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