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ヴァネッサ③


 能力が発動しない原因はなんだ!? クリアすべき条件はなんだ!?

 おっぱいも周りもしっかり触った! いったい何が足りてない!?


 シスターの時を思い出せ……そして見つけろ! 足りないものを!


 俺は下からそっとおっぱいに手を伸ばす。

 

「あっ、え? ちょ、ちょっとカイト!?」

「ブラジャーのためだよ……」

「ちょ、ちょっと待っ……ああっ!」


むにむにむにむに。


 次第にヴァネッサの声がどんどん大きくなっていく。


「ひゃああ! んんっ! う、んんあああっ!」

「ごめんごめんごめんごめん! ごめーん!!」


 俺は自分の正気を保つため、同じボリュームで謝り続けた。

 

 おっぱいは丸いから円を描くように揉めばいいのかな、なんて考えたその時だった。

 

 びくんと、ヴァネッサが大きく震えた。


「ひゃあああっ!!!」


 とっさに手を引く。


「ヴァネッサ!? だ、大丈夫……!?」


 返答はなく、ヴァネッサは力が抜けたようにばたりとベットに横向きで倒れた。

 静寂な部屋の中で乱れた呼吸の音だけが聞こえる。


 え……? 俺、やってしまった……?

 

 呼吸が落ち着いてくると、ヴァネッサは布団の端を引っ張り雑に自分にかけた。

 顔も隠れ、足だけが出た変な感じだ。


「ヴァ、ヴァネッサ……大丈夫……?」

「大丈夫……じゃない……」


「大丈夫じゃない!? え、嘘!? どうしよ……あ! 水持ってこようか!?」

「いらない……」

「そ、そう? なら他にいるものとかない? 持ってくるよ!」


 ばっと布団が捲れ、ピンク色にほてった顔があらわになる。


「ブラジャーが欲しい」

「え……?」

「ブラジャーが欲しいの! カイト、失敗したでしょ?」


 ええええ!?

 見抜かれてる!? しかも意外に冷静だ……。

 てっきりやりすぎで怒られるかと思ったのに……。


「なんでかわからないけどブラジャーが出せないんだ……」


 俺は正直に答える。


「なんでだと思う?」と、ヴァネッサは身体を布団で隠したまま座り込む。


「わからないよ……。試せることは全部試したよ、でもだめだった」

「えー! じゃあブラジャーは出せないの……?」

「うん……」

 

「そんなのだめ! ……カイト、思い出して」

「思い出す?」


ヴァネッサはニヤッとした顔つきで、「シスターとはどんな感じだったの?」


「ええええ!?」


 それ聞く!? 


「シスター言ってたよ、カイトがすごい揉んできたって」

「なななっ! シスターはどこまでしゃべってるんだ!?」

「全部だよ」


 顔が爆発しそうになった。

 

 なるほど……。ブラジャーを出すにはどうなるのかを全部知ってるから冷静なのか……。


「シスターの時と比べて、何が足りないのかを考えてみて」

「……わかったよ」


 でもそう言われても、おっぱいを触ってる時からずっと考えてるよ。

 思いつくことはもう全部試したしなあ……。


 俺は腕を組み考え始めた。

 シスターの時と比べてかー。

 ヴァネッサのおっぱいはシスターよりも控えめだから、おっぱいを持ち上げたりとかはできてないかも。


 ……もしかして、おっぱいの大きさが関係してるのか?


 ある程度の大きさがないとだめとか。

 俺が出せるブラジャーが少し大きいのはそれが理由?

 

 ……いや違う。

 

 そもそもブラジャーはおっぱいが大きい人用のものではない、と思う。


 それに、おっぱいの大きさに合わせていろんなサイズのブラジャーがあるから、たとえおっぱいが控えめだったとしても、サイズを図ればその人も一番自分にあったブラジャーを着けられるはずだ。

 

 もしも俺の能力がブラジャーに基づいたものなら、誰でも着けられるはずなんだ!

 

 何かを見落としてないか、もう一度考えるんだ!

 

 俺は窓を出し、ブラジャー発現の説明文を確認する。

『対象者のおっぱいを念入りに調べることで、フィット感抜群のバストアップブラジャーを出現させる』

 対象者の部分に原因がないなら、やはり念入りの部分に原因があることになる。


 念入り……。

 触る時間? 力加減?


 ……それも違う、と思う。

 調べるとは、たぶん肌質とかおっぱいの弾力とか、そういう感じだろう。

 どっちも触ったり揉んだりするだけで把握できる。

 

 時間も関係ない。

 いくらおっぱいを触ったからといって、別におっぱいにはなんの変化も……。


 ……待てよ。

 1つある。


 おっぱいを触ることで変化する部位が!


 まさか……あの突起も触る必要があるのか!?

 

面白い! 続きが読みたい!


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