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2回目....そして3回目へと....

 政志さんに知られてはいけない。

 なんとか満夫を宥め、関係を終わらせよう。

 写真とラインの記録を消して貰おう。

 それしか思い付かない。

 自分でも都合の良い事だと思うが、二度と過ちを繰り返す訳には行かないのだ。


「...そうだ」


 先ずは今日の密会をキャンセルさせる為、私は再度ラインを送った。


[旦那が疑ってるみたいなの、だから]


 これで終わって欲しい。

 満夫だってバレた時のリスクを考えたら、これ以上の関係をと思わないだろう。


[そうか、分かった]


「...良かった」


 満夫から返って来たラインにホッとする。

 アイツだって本気じゃなかった、私と同じで奴も結婚する迄の火遊びだ...


[旦那が疑わなくなったら連絡してくれ]


「はあ?」


 一体なんだこれは?

 アイツは事を理解してない、とにかく今すぐバレる最悪の事態だけは避けられそうだから、後は自然消滅を期待して、携帯の発信履歴とラインの通話記録を消した。


 それから半年、満夫からのたまに来るラインに適当な返事を返しながら、平穏な日々に幸せを実感しながら過ごしていた。

 やっぱり私は政志さんを愛している、セックスの充足感も満夫とは全く違う、アレは錯覚していたんだ。


「おい史佳...」


「どうしたの?」


 そんなある日、一週間の出張から戻って来た政志さんの為に作った夕飯に目もくれず、彼は荷物もそのままに、私を呼んだ。


「お前...浮気してるのか?」


 沈痛な表情で政志さんが呟いた。


「...へ?」


 一体何の話?

 私は誰とも浮気なんかしていない、今回は満夫と一度だって...


「こんなメールが来たんだ」


「これは...」


 政志さんが自分の携帯を私に見せる。

 そこには私が男性と抱き合い、キスしたり、観光地で肩に手をまわし、笑っている写真が。

 男性の顔にモザイクがしてある、満夫の顔だけ...


「身に覚えがあるみたいだな...最初はイタズラの合成写真かと思った」


 私の様子を見た政志さんが残念そうに首を振った。


「ち...違うのよ政志さん!」


「何が?」


 叫ぶ私を政志さんが睨む、息が詰まり、大量の汗が流れて来る。


「こんなメール知らないよ..」


「そうか...5日前、急に俺の携帯に来たんだ、匿名でな」


「匿名で?」


 満夫は自分の痕跡を隠したの?

 それなら挽回のチャンスは有る筈よ、アイツ以外、私は潔白なんだから。


「下呂満夫...」


「は?」


 どうして政志さんが満夫の名前を?


「アイツもバカだな、モザイクしても、この襟章が消えて無ければ、会社が分かるのに」


「襟章?」


 政志さんは携帯に映る、モザイクの掛かった男が着るスーツの襟に付いてあるバッジに指を差し、拡大させた。

 少しボヤけているが、それは紛れもなく満夫の勤める会社の社章。

 私と満夫が会社帰りに密会した時に自撮りした写真だった。


「なんで...なぜコイツが?」


「見た瞬間思い出したよ、コイツはマンションの打ち合わせをしてる時から、お前に色目を使っていたからな、俺の嫉妬から来る勘違いと思っていた...」


「いや...それは」


 ダメ、考えが纏まらない、どう切り抜けたら?


「随分と満夫と仲が良さそうじゃないか。

いつから付き合っていた?

いつセックスの関係になったんだ?」


「違う!セックスなんか、まだしてないわ!!」


 思わず叫ぶ。

 前回は引き返せない過ちをしたが、今回は未遂。

 それに私は関係を終わらせようとしていたんだ!!


「写真は認めるんだな」


 そう言って、政志さんはまた首を振った。


「どうして?コイツが...なんで政志さんと?」


「電話をした」



「電話を?」



「コイツの連絡先はマンションを買う時に貰った名刺で登録していたからな」


 そんな事まで政志さんはしていたのか。

 初めて見る政志さんの表情、いや2回目...


「あの野郎、最初はすっとぼけてやがったが、モザイクを復元するぞと脅したら、あっさり認めやがった。

 ほんのイタズラでしただと、にしても悪質だ。

 会社に報告すると言ったら、やっと謝罪して、お前とのメールや通話記録を渡して来た。

 まだ不貞行為はしてません、だと」


「...私との通話記録?」


 また満夫は保身に走ったのか。

 でも記録は私が満夫と肉体関係に無い事の証拠になるわよね。


「気の迷いでした。

 過ちに気づいたから、アイツと連絡を絶ったんです、私は政志さんだけを...」



 全てを認めるしかない、なんとか最悪の事態は避けないと。


「お前の方からアイツを誘っておきながら、それを信じろと?」


「あ?え?」


 なんの話?

 私から誘ってなんか無い、全部満夫からだ!


「これを見ろ」


「な...なによこれ!!」



 政志さんの携帯に、満夫と私の通話記録が表示された。

 でも内容が違う、アイツが口説いた所は全部削除され、私が奴に返した言葉だけ、都合よく切り貼りされているではないか!


「嘘よ...私はこんなラインしてない」



[そんなに好きか?]


[勿論愛してるわ]


 前後の会話文が削除されている。

 旦那がそんなに好きかと聞かれ、愛してると返したんだ。

 こんな事なら、直接会って記録を消す様に言うべきだった。

 会いたくないから、記録を放置してしまったのは失敗だった。


「政志さん騙されちゃダメ!

 満夫は都合よくラインを加工して私だけ悪人にするつもりよ、逃げようとしてるの!」


「それなら、お前の携帯を見せて見ろ」


「う...うん」


 急いで私は携帯を...


「あ...」


「どうした」


 携帯を持つ手が止まる。

 私の通話記録は全部消していたんだ...


「何も無いじゃないか」


 携帯を見た政志さんは不信感を露にした。


「...消してしまいました」


「都合が悪いから、だろ」


「違うわ!!」


「言い訳は止めろ見苦しい!」


「なんでよ!!」


 こんな事なら通話記録を消すんじゃなかった、いや最初から真実を政志さんに話すべきだったんだ!


「離婚だ」


「...そんな」


 どうして?私は何もしてないよ?

 過ちの直前で回避したのに...


「アァァォ!!」


 まただ!

 前回と同じ頭の痛みに、テーブルから崩れ落ちた。


(...次があれば)

 最後にそう思った。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「おい史佳...」


「え?」


 気がつくと私はまたベッドに寝ていた。


 今回もパジャマは酷い寝汗でベトベト、目の前には心配そうな顔をした政志さんが...


 さすがに前回と同じ状況は私の置かれた事態を理解するに充分だった。


「随分魘うなされてた...」

「政志さん、何月何日なの?」


 心配する政志さんの言葉を遮り、質問をぶつけた。


「史佳?」


「教えて」


「8月28日の土曜日だ」


「2021年の?」


「...そうだけど」


 政志さんは心配そうだけど、大丈夫。

 またチャンスが来るなんて、私はどれだけ恵まれているの?


「しっかりしろ史佳、熱は無いみたいだな?」


 私のおでこに手を当てる政志さん。

 こんな時なのに、なんて幸せなんだろう。


(今度こそは...満夫を殺してでも)

 決意を固めた。


なんだかな...

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― 新着の感想 ―
[良い点] 浮気心を持った時点でアウトですよね? その時点で、既に夫に対する愛情と同じかそれ以上の好意を持ってるってコトでしょ? どんなにパートナーのことが好きでも、口説かれ続けたら心変わりするものな…
[一言] 結局、密会、キス、日帰り旅行は終えた時点までから戻れないのですね。。。
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