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カミタチによる踊り続ける狂想曲  作者: フィル
第一章 始まりはいつもの所から
9/21

08 俺は招鵺で守り手だ

この物語は、後を少し考えて作られています。

意味が分からない描写があります。


軽い気持ちで読んでいってください?

 妖怪と戦った次の日、招鵺は第九番倉庫で五郎と話していた。

「僕が調べた情報によれば、この辺りには昔『火車』という妖怪が多く住んでいたそうです」

「つまり、前に俺を轢いたのは火車だった、てことか」

 どうやら、五郎は博物館で妖怪について調べ、自力でここまで知ったらしい。

(美亜の言った通りだな。それにしても…五郎は頭が良すぎないか)

「それを踏まえて、こんなのを作ってきました」

 そう言って、五郎は薄紫色のお守りを渡してきた。招鵺はそれを手に取ろうとし、すぐ引っ込めた。

「どうかしましたか」

(なんだ…今、触ったらヤバそうな予感がした。もしかしてあれは)

『これは…『魔除けのお守り』ですか。それも高品質の』

 美亜が言うには、高品質のお守りらしく、招鵺がそのまま触っていたら、最悪死んでしまうかもしれないらしい。

「…招鵺君、何か隠していませんか。それとも、悩んでいませんか」

「五郎…」

 二人は何も言わず数分が経ってしまった。それを見かねた美亜が招鵺に一言言った。

『あーもう。招鵺さん、別にお友達に隠す必要はありませんよ』

「そうなのか…実はな」

 招鵺は昨日会ったことを話した、美亜に出会ったこと、火車に殺されかけたこと、妖刀と契約したこと、そして…火車を…生き物を殺そうとしたこと、全てを話した。そのうえで招鵺はいった。

「俺は生きていていいのかな。考えてみれば、本来『時雨招鵺』という人物は火車に殺されるはずだった。でも、記憶を失って生き延び今の『俺』がいる。それで俺が『時雨招鵺』として生きるのは正しいのか」

 この話を五郎は黙って聞いていた。そして、言った。

「別に生きていてもいいんじゃないですか。誰が何と言おうと『僕から見た招鵺君』は変わっていません。人の為に行動し、責任を持とうとする。例え今の招鵺君が偽物だとしても、貴方は『時雨招鵺』であることには違いないのですから」

 その言葉は、心のどこかで招鵺が、俺が欲しがっていた言葉だったのかもしれない。記憶が無く自分を自分と言えない俺を、招鵺だと認めてくれる言葉を。

『招鵺さん、重要なのは名前ではありません。その道をどう進むかです。招鵺さんが自分を招鵺と思えなくても、別にいいんです。本当に招鵺さんでないのなら、別の名前で呼ぶはずですから」

「そうか…そうだったのか」

 気がつけば、俺のことを美亜が抱きしめていた。まるで、母親が子を慰めるように。

  ガタッ ガラガラガラ

「え、妖狐、本物…」

「おっはよー、て誰ぇぇぇー」

 美亜を見て驚き立ち上がった五郎と、元気に入ってきて驚いた音。そして、それを笑って見ている美亜と、引きつった笑みを浮かべる俺『招鵺』。うるさい一日がいつも通り始まろうとしていた。


『俺は招鵺、時雨招鵺。妖刀と契約し美亜と共に世界の守り手となったモノだ。

 そうだろ――の俺』


「はぁ、火帆はこんな所に入らないといけないのですか…」


  ボコ ドカ バシャン

「ご、ごめんなさい。本当に悪かったと思っているから」

「そうか、後はレイに任せるとしよう」

「そんなぁー」

 たんこぶをたくさん作った金髪の女の人が土下座をしていた。ここは世界の狭間のどこかにある場所『無録』。そこで、主である『―――』が『命乱三舞』の主『天理』をボコボコにしていた。

「本当に分かっているのか。美亜を向かわせたが、なぜそこに無録…いや、『紅月美零』がいる。あいつは」

「言わないで、それ以上は。こんなの間違ってることは分かってる。でも、『凍無』と約束したから。いつか…いつか、彼女達を救うって」

 ―――は美亜達を見た。とても楽しそうに談笑している。あんな美亜を見るのはいつぶりだろうか。

「美亜はずっと一人なの知っているでしょ。白亜は部下、鎖依はいない。もう、後は」

「…ひとつ言わせろ、お前は今の美亜がどうなっているのか知っているのか」

「どういうこと。今のってまるで…まさか」

 ―――は一度だけ頷くと、天理は驚き頭を抱えた。

「私はなんてことを」

「あの美亜は『無録美亜』であって、『紅月美亜』ではない。そして、それを美亜は理解しているんだ」

天理は一度深呼吸をすると、地に手を付け土下座をした。

「―――様、どうか、世界を救ってください。お願いします」

「分かっている。だが、そのためにはいろいろ協力してもらうぞ」


世界は進む 例え時間が無かったとしても


ひとまず自身の思いと決着をつけたが招鵺とその中身

そんな招鵺の周りでは色々な思惑が動き始めていた

次回、カミタチによる踊り続ける狂想曲『二章』を待っていてください。

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