04 妖刀・無
この物語は、後を少し考えて作られています。
意味が分からない描写があります。
軽い気持ちで読んでいってください?
「ケケケ、ウマソウダナッ」
武器を失った美亜はもう脅威ではないと思ったのか、今度は招鵺の方へ飛びかかってきた。
ギィィィン ドガッ
「グゥあぁぁ。首がぁぁ、ウ」
バタッ
とっさに目の前に刺さっていた刀で防いだが、その衝撃は強く、招鵺は後ろの木まで弾き飛ばされてしまった。
「招鵺さん。よくも招鵺さんを、『妖気錬成 藍炎玉』」
ゴオゥ ボンッ
「ギャウ、オンナ、ツヨイ。カテナイ、シヌ、ニゲル」
招鵺を傷つけられたことに起こった美亜が放った一撃は、火車に直撃した。
「待ちなさい」
そういって、美亜は逃げようとする火車を追いかけようとするが、木へ弾き飛ばされた招鵺が血を流しているのを見ると慌てて進む向きを変えた。
「招鵺さん、大丈夫ですか。今治療を…え、これはまさか」
手当てをしようと横に寝かせると、招鵺の首元に黒い痣ができていた。黒い痣は今も少しずつ浸食しているようで、少しずつ大きくなっていた。
「呪いの痣…この痣の形は横に三本線上に広がっていくタイプね。でも、このサイズは…まさか昨日の接触の時に付けられたの。ここまで大きくなると、私の力だけでは…」
招鵺の呪いを解く方法が思いつかず困っている時、不意に刀が光りだした。その光は優しく招鵺を包み込んでいくようにして広がっていった。その瞬間美亜はあることを思いつく。
「この光は仮契約の光…契約…そうだ、あの方法なら招鵺さんを救える」
光続ける刀へ手を伸ばし、指の先から少し血を塗った。そして、美亜も光に包まれていった。
「うぅ…ここは。うぐっ」
(首が痛い、俺は…時雨招鵺だ。そうだ、火車はどこだ)
慌てて辺りを見渡すが、見える範囲には何もなかった。
「ここは、無録神社じゃないのか。まさか、あの時の衝撃で死んじまったのか」
その時、後ろから声が掛かる。
「お前はここで何をしている」
「うわぁぁぁ」
いきなり声を掛けられ大声を出してしまった招鵺は慌てて後ろを振り向いた。そこには真っ黒なコートに身を包んだ男がいるように感じた。驚き放心していると、招鵺の右手に光が集まり一振りの刀が現れた。
(これは、さっき美亜が振るっていた刀じゃないか。どうしてここに)
美亜の刀を観察していると、男が語りかけてきた。
「それは、妖刀・無。俺が美亜に与えた刀の一つ。何もない、だからこそなんにでもなれる。お前はそれと仮契約を結んでしまったようだな」
「仮契約?それはいったい」
「仮契約は一時的に妖刀と契約を結び力を引き出すことだ。おそらく刀に血が付いてしまったのだろう」
血が付いたと言われ、先の戦闘を思いだした。火車の一撃によって後ろへ弾き飛ばされた時に、何処かが切れて血が流れたのだろう。
「どうやら、お前の体の限界が進んでいるようだな」
どういうことか聞き返そうとした時、招鵺は左手が消えかけているのに気が付いた。
「な、何だこれ。手が消えていってる!」
「おそらく呪いが体を蝕んでいってるのだろう。このままだとお前は死ぬだろうな」
死ぬと聞き、招鵺は慌て始めた。そして、聞き返した。
「ど、どうすれば。まだ、俺自身のことが何も分かっていないのに。どうにかならないのか」
そんな招鵺を見た男は、少し考えるそぶりを見せた後一つ提案をしてきた。
「そうだな、お前がその刀と契約ができれば…だが…な」
「なにか問題があるのか」
そう聞き返すと、男は何もない所を手で引き裂いた。その光景に招鵺は驚いていると、引き裂かれた先から何かが向かってくるのが見えた。
「これなら大丈夫だな」
男が一歩下がると中から美亜が飛び出してきた。
「招鵺さん、あなたに呪いが」
「美亜その話はもうしている。後は契約を成功させるために繋ぐだけだ」
「え、ーーー様」
招鵺は美亜と男の話している内容は理解できなかったが、とりあえず助かる方法が見つかったと分かった。二人の話し合いが終わると、美亜が手を差し出してきた。
「招鵺さん」
真剣な表情で見つめてくる美亜はとんでもないことを言い出した。
「私と結婚してください」
「「いや、なんでだ」」
そう、言い返され美亜は男を睨んだ。睨まれた男はなんとも言えない表情をして、頭を抱え始めた。
「本当に大丈夫なのかな…」
招鵺はそんな様子を見て、存在しない天を仰いだ。
突然の結婚の申し込みに招鵺は天を仰いだ
徐々に消えていく体 招鵺は生き延びれるのか
次回、カミタチによる踊り続ける狂想曲「魂結の儀」(仮)待っていてください。