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カミタチによる踊り続ける狂想曲  作者: フィル
第二章 真っ赤に燃えるその炎
16/21

05 越えられない壁

この物語は、後を少し考えて作られています。

意味が分からない描写があります。


軽い気持ちで読んでいってください。

「五郎しっかりしろ、『加護符 幸運天使』『治癒符 清水』」

 血塗れで倒れている五郎を助けるため、俺はいろいろな御札を貼っていった。その間にも、考えることはやめない。

(一体何があったんだ。拘束結界を使わなかったのか。いや、この御札は二十三式と二十五式。しかも、最後まで使ってある)

 俺は五郎の怪我の状況を調べると、腹から多く血を流していることが分かった。そこを塞ぐように治癒符を貼っていく。火帆が言うには、絆創膏代わりに一応なっているらしい。

「美亜聞こえるか。今すぐ俺のいるところに来て欲しい」

『分かりました。廻廊を通ってすぐ行きますね』

 俺は美亜を呼んだあと辺りを見渡した。鳥居廻廊に行ける鳥居がないか探すためだ。

  ガサッ ザンッ

「しまった。妖怪を忘れてた…」

 奇跡的に避けることができた五郎を守りながら妖怪から距離を取った。そして、急いで刀を抜くとその刀身に一枚の御札を貼りつけた。

(『加護符 火炎斬』。そのままだけど、これで炎を纏うはず)

 謎の妖怪が踏み込み、手を振り下ろしてくる。俺は御札を貼った妖刀で迎え撃った。

  ボウッ

「か、『火炎斬』」

  ガーン ガリガリガリ

 しかし、妖怪の力はとても強く、弾かれないようにするので精一杯だった。それでも、何とか一歩前に踏み込むと、刀身で手を逸らしながら、俺は妖怪を斬った。

  ズシャ

「え、手ごたえがほとんどない…まさか、『妖異顕現 紫電一閃』」

  ズシャ

 斬った時の手ごたえがおかしいと気が付いた俺は、そのまま紫電一閃を放つと、斬ったところがモヤでまた修復されていること気が付いた。

「こいつ、実体がないのか。なら、御札で…あれ、しまった」

 御札などで凍らせたり、燃やしたりしようと思い、御札を取り出そうとしたが、もう御札が無かった。さっきの白刃との戦闘と五郎に使ったことで使い切ってしまったようだった。

「もっと持ってこれば良かった。仕方ない、焼き尽くせ『妖異顕現 火焔柱』」

 俺は火焔の柱を呼び出し、モヤを焼き払おうとする。しかし、モヤは当たりそうな部分だけモヤを無くすと、そのまま近づいてきた。

  ブゥン ギン

「くそ、当たらない…」

 妖怪はモヤとなって一方的に攻撃してくる。それを、避け、刀で受け止めるしか俺はできなかった。必死になって捌いていても、限界はやってくる。

  バキーン

 そして、俺は迎え撃つタイミングを間違え刀を弾かれてしまった。

「しまった」

  ブゥン

 その隙を狙うように妖怪が手を振り下ろしてきた。武器を失ったことで排撃しようにも何もできなかった。

(美亜…)

「『紅月稲荷流 惨の技 月天翔』」

  バゴーン

「なんだ…地面から赤い斬撃が飛び出してきたのか」

 攻撃が当たる瞬間に、地面から斬撃が飛び出し、妖怪を少し遠くへ吹き飛ばした。辺りを見ると、美亜が走って来るのが見えた。

「美亜、助かった。今の技なんだ」

「え、今の招鵺さんじゃないのですか。私は今、廻廊を出たばかりですよ」

「じゃあ、一体誰が…」

 そんなことを考えている内に、吹き飛ばされた妖怪が戻ってきた。俺が再び構えようとすると、美亜が手で止めてきた。

「待ってください」

「な、なんだ美亜。あいつはとても強くっ」

 そのときの美亜の目は、自身の仇を見るような目つきをしていた。それを見た俺は何も言えなくなってしまった。

「招鵺さんは今すぐ五郎さんを連れて帰ってください。ここは私が引き受けます」

「でも」

「早くしてください」

 美亜の気迫に驚きつつ、俺は五郎を背負った。前を見ると古びた神社が建っていることに気が付いた。

(あそこからなら、鳥居廻廊に入れそうだな。美亜は大丈夫なのか)

 俺は、美亜の方を見ると何も言えなくなった。なぜなら

「無録へ緊急要請。封印が解けた影響でシャドウが現実世界に侵攻し始めています。至急、『神刀~不知火~』の使用許可をおろして下さい」

(なんで、片手で抑えているんだ。いや、それよりも今は)

 美亜が左手でモヤを掴み、動けないようにしていたからだ。俺は逃げるように神社に近づくと、そのまま鳥居廻廊に飛び込んだ。


「行きましたね」

 私は、シャドウを片手で抑えながら、無録に武器の使用許可を申請していた。少し待つと無録から声が聞こえてきた。

『美亜ちゃん聞こえる。こちら天理よ。不知火は駄目だったけど、天は許可が出たから、今から使えるようにするね』

「ありがとうございます、天理様」

 そして、私の体に新しい力が流れ始める。それを確認した私は、右手を上に掲げた。

「至急、『妖刀・天』の使用許可を無録へ申請」

『特例により、許可します』

「シャドウ覚悟『零式稲荷流 ニノ技 異空間抜刀』ハァァ」

  ザシュン

 私は無録から『妖刀・天』を抜刀すると、その先をシャドウへ向けた。そして、解放の鍵を唱える。

「妖刀・天の限定開放開始。『神名刻印 無録記・天叢雲剣』」

 私は両手で『天叢雲剣』を持つと、素早くシャドウに斬りかかる。そして、どんどん細かくしていった。そして、

「『神名解放 無天剣』せいやぁ」

 見えない剣で消滅させると、異空間へ納刀した。

「取り合えず、ここのシャドウは倒しました。撃ち漏らしが無ければいいのですけど」

 招鵺さんが入っていった、鳥居を目指し私はそこを去っていった。


『―――様、妖刀・天の転送が完了しました』

「分かった。でだ、天理…アレは結界の封印が解けかけていると言うことで間違いないな」

「そうね。ただ、この程度の綻びではまだ出ないと思ってたけど」

 シャドウと美亜の戦いを見ていた俺達はある違和感に気が付いてしまった。

「シャドウってあんなに速く動けたっけ…」

「…天理、最悪を想定して準備を始めるぞ」

「はい、分かりました」

ただの半妖として戦う招鵺と無録の妖怪として戦う美亜

その差はとても広く、美亜はとても強かった

次回、カミタチによる踊り続ける狂想曲『後悔(仮称)』創作中です。

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