第97話 コハクの機転
それは、リィンがコハクの為に残した魔力を増幅する為の腕輪だった。
何よりも大切な友達の形見。
そんなものを投げて渡す理由が裕司には分からなかったが、加奈は理解できたようだった。
「そういう事ですの! ポポ、それを腕に嵌めて歌ってくださいな」
「え? うん、良いよ」
「怪我をせずに向こうに行く方法……。それは怪我をする前にパワーアップした回復魔法で治してしまえばいいんですわ」
「そっか、さすがコハクちゃん!」
コハクの機転に裕司は感心したが、リシュリー達の反応は別のものだった。
「はぁ、何言ってんの! 嘘でしょ! あんな熱そうな火の中に飛び込むなんて考えられない!」
「無理に決まってんだろうが!」
そう、行って加奈の案を否定してくる。
「できますわよ。それしか方法ありませんし。ね、裕司様」
「う、ちょっと怖いけど、でも行かなくちゃ。コハクちゃんが渡してくれた腕輪があるなら、大丈夫だよ」
裕司がそう言えば、ポポも負けじと元気な声で発言する。
「そうだよ。よく分かんないけど、とってもすごいアルカディアだっていうボクも歌うから、平気だよ」
「ほら、ポポもこう言ってますわよ。アルカディアは優秀なんですわよね。仲間の力を信じないんですの?」
駄目押しに加奈がそう言えば、ジャスティスがふっきるように炎の壁の前へと走って行った。




