第96話 挫けない
「危ない!」
目の前の炎で燃えた建物の資材が、リシュリー達の上に落ちてくる。
小さい物だったが、火に包まれた物に当たって無事で済むはずはない。
裕司とはとっさに銃を撃って、加奈は根を振ってそれを弾き飛ばした。
「な、何よ、気持ち悪っ。頼んでないわよ、ばーか!」
「礼は言わないからな」
だが、助けられた二人はそんな反応だ。
「うん、分かってたけど、体が動いちゃったんだ」
「私は敬愛する裕司様が動いたので、その行動フォローしたまでですわ。ですから元から礼は不要ですの」
裕司達の言葉を聞いた二人は、釈然としない顔だった。
「変な奴ぅ」
「ふんっ」
だが、依然として状況は変わっていない。
召喚悪魔に追いつかれない為には、目の前にある炎をどうにかして超えていくしかないだろう。
だが、良い方法が思いつかなかった。
裕司達は絶対絶命の危機にさらされてしまっている。
だが……。
(コハクちゃんなら、きっと諦めない。挫けない。立ちふさがるものがどんなに強大でも恐れたりはしないんだ。考えなくちゃ。コハクちゃんみたいに僕もなりたい!)
挫けそうな意気をそう持ち直す。
「ポポちゃんの魔法ああれば、何とかできないかな。でも力が足りないかも……」
その時、裕司の思い付きを助ける様に声が聞こえた。
「受け取りなさい!」
炎の向こうから、コハクの声がして、上空から何かが投げ込まれてきたのだ。




