第92話 同胞のために
コハクの言葉を聞いたジャスティスは、思い切り顔をしかめて言い返した。
「何言ってんだ。お前らなんか信用できねぇ。協力なんてするかよ、勝手にやってればいいだろ」
「できるもんならやってるわよ。できないから声かけてんじゃない、このおたんこナス」
「何だと!」
裕司も予想していた事だが、それは友好的な話合いの光景から、かけはなれたものだった。
すぐに加奈と共に割って入る。
「コハクちゃん、落ち着いて」
「冷静になってくださいまし、これからの事やクレハさんの命がかかっているんですのよ」
「っ、わ……分かってるわよ」
裕司達に言われたコハクは、はっとした様子で口をつぐんだ。
そして、心を落ち着けるように呼吸を繰り返す。
ジャッジメントとコハクの関係を良く知らないポポは、目の前で言い合い二人の気持ちが理解できない様だった。
「ケンカはよくないのに、何でコハク達は仲良くできないんだろ」
そんなポポを見て、コハクは何かを思いついたようだ。
「そうだわ! あたし達に協力するのが嫌だったら、ポポに協力しなさい。アルカディアの手助けなら良いんでしょ? 勧誘するチャンスだと思って、良いとこ見せなさいよ」
その発言を聞いたジャスティスは、明らかに先程とは態度を変えて言葉に詰まった。
「……その手には乗らないぞ、体よく利用する気に決まってる。だが……」
反論しつつも、どうすべきか決めかねている様だった。
ジャスティスの先には、生気のないサイードの姿。
リーダーである人間の反応を窺っているのだろう。
彼らは、明らかにサイードの意見を気にしてる。
リシュリーが前に言っていた事でも分かる様に、自分達のリーダーの意にそぐわない事はしたくないという意思があるのだろう。




