表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディアの魔法使い  作者: 仲仁へび
第一章
9/103

第8話 ラシェータおばさんとナジェルおじさん



 コハクによって連れて来られたのは、木造の小さな家だった。


「こんにちは! ラシェータおばさん、ナジェルおじさんいる?」


 扉を叩いて出てきたのは若い女の人と男の人だった。

 ニコニコした笑顔の、人が良さそうな人達。


「あら、コハクちゃん久しぶりねぇ。元気してた?」

「おやおや、今日はどんな用で来たんだい?」


 そんな二人に、今まで裕司達に接してきたものよりは柔らかい態度でコハクが話しかけていく。


「ちょっと、野暮用よ。やらなくちゃいけない事があるから、武器をもらいに来たわ。約束したでしょ? 召喚魔法に成功したら、武器庫にある武器……何でもくれるって」


 その言葉を言った時、目の前にいる二人は途端に表情を曇らせた。


(あれ、どうしたんだろう)


「コハクちゃん、復讐なんておやめなさい。復讐は何も生み出さないわよ」

「そうだ、コハクちゃん。友達だってそんな事は望んでないだろう」


 二人はそう言葉をかけるのだが、コハクの決意は固いようだった。

 簡単には言葉を覆さないのが見て取れた。


「ごめんなさい。でも私はもう決めたの。里を焼いた犯人を突き止めるって、あの子の墓に誓ったの。だから止めないで」

「……」

「……」


 無言になってしまった二人の間を通り抜けて、コハクは家の中へと入って行ってしまう。


 取り残された裕司達は気まずい。


「えっと……」

「貴方達は、どういった方なんですの? コハクの両親さんだと最初は思いましたけれど、他人行儀な所が見えますもの」


 間を生めるように加奈が話せば、目の前の二人は重々しく口を開いた。


「私達はアルカミレスよ。こんな見た目ですけど、百歳は長生きしてるのよ」


 ラシェータの言葉に裕司は驚く。

 アルカミレスは人より長生きで、老化もゆっくりらしい。


「コハクは武器っていってましたわよね。何か兵士のような職にお付ですの?」

「昔の話よ。今はただの一般人。私達、コハクちゃんとは赤の他人だけど、本当の孫の様に思ってるわ。でも……」

「これ以上は聞かない方が良さそうですわね」


 沈んで行く声に、空気を読んだらしい加奈がそう言って話は終わった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ