第85話 間違いなんかじゃない
「口では強く言いつつも、クレハはサイードを殺してほしくなかったんだわ。きっと放っておいたら、私がいつかサイードを殺すんじゃないかってそう思って、悪魔に……。私がもし、クレハに復讐の事を言わなければ、私がもしジャッジメントにリィンの事を伝えていれば、何か違っていたかもしれないのに」
「コハクちゃん」
励ます言葉を何とか考えようとするが、裕司は何も思いつかなかった。
「私のした事は全部間違いだったの?」
けれど、そのコハクの言葉だけには、はっきりと返す事が出来た。
「そんな事ないよ!」
「裕司?」
裕司は今までどんな思いでコハクの事を見てきたか、伝える事にした。
「僕、臆病で怖がりで弱虫で、どうしたら強くなれるかずっと考えてたんだ。でも、どんなに考えても答えが分からなくて、今までずっと途方に暮れてたんだよ。だけど、そんな時にコハクちゃんに出会って救われたんだ。コハクちゃんを見てれば、その分からない答えが見つかるかもしれないって」
「あたしを?」
大きく頷いて裕司は続けていく。
「コハクちゃんはどんな強い相手でも、どんな事情があっても、自分の意思を曲げないでここまで来た。頑固って言えるのかもしれないけど、僕にとってそんなコハクちゃんの姿は凄く眩しかったんだ」
「それが、あたしのしてきた事が間違いじゃない事とどうつながるのよ」
心なしか調子の出て来たコハクが、よく分からないといったように問いかける。
裕司は慎重に言葉を考えながら、その理由をよく考えて口を開く。




