第80話 途方にくれる彼等
憔悴したようなサイードを引っ張る様にして、裕司と加奈が時計塔から離れた。
クレハの意識は徐々に乗っ取られつつあるようで、召喚悪魔は町をめちゃくちゃに壊していた。
敵味方関係なく暴れ回るその姿に、さすがにジャッジメント達や兵士達も戦闘どころではなくなったようだ。
町の中から人の気配がなくなっていた。
町の外に出ると、様子を窺っていたリシュリー達が出て来た。
「サイード、何でそんな奴等と一緒に!」
「おい、お前ら何をしたんだ!」
詰め寄ってきて殺気立つ彼らに、ぞんざいに言い放つのはコハクだ。
「何もしてないわよ。こいつが勝手に落ち込んだだけ」
何が起こったのか説明してやる程親切ではないといったコハクの代わりに、裕司達が説明していく。
数分かけて説明し終えると、ジャッジメント達は神妙な顔になった。
その中で代表的なそんざいであるらしいリシュリーとジャスティスが言い合いを始める。
「そんな事が。ねぇ、じゃああたし達どうすればいいの?」
「そんなの決まってるだろ! 人間もアルカミレスも皆殺しだ!」
「でも、サイードは……」
「驚いて言葉を失ってるだけだ。サイードだって冷静になれば同じ事を言うに決まってる」
「だけど勝手な事やったら、怒られるじゃん。あたしやだよ。行くとこないもん。サイードに嫌われたら、どこに行けばいいの! ねぇ!」
「そんな事俺が知るか!?」
尽きぬ言い合いに夢中になる彼等の仲裁まではさすがに出来ない。
裕司達は、そっとその場を離れて兵士達と合流する事にした。




