第78話 時計塔に残された伝言
辿り着いたのはアルケミストの町にある時計塔だった。
その内部に入ったコハクは、地面に這いつくばってショックを受けている男性と、その横にある手紙に気が付いた。
「誰よ、あんた。いいえ、今はそれどころじゃないわ。それよりも……」
コハクは手紙を拾い上げて読み上げる。
そこに書かれた居たのは、あの悪魔が召喚される事になった理由についてだった。
――サイードへ。
これを読んでいるという事は、私は無事に自分の体に悪魔を憑依させる事ができたのでしょう。
本当はいけない事だけれど、最後にお別れを言いたくて、あの頃よく二人で出会っていたこの時計塔に手紙を残しました。
私は私の信念を曲げる事が出来ませんでした。
でも、貴方を敵として見る事はやはりどうしてもできない。
だから、私は私自身が最良だと思う事を実行します。
どうか、私の愛する貴方の手で、この私を倒してください。
世界の敵となった私を倒す事で、貴方達はきっとこの世界に快く迎え入れられるでしょう。
全ての罪は私が被ります。
だから、どうか。
人間もアルカミレスも、嫌わないでいて。
彼らを排除しようなどと考えないで。
全てをとは言えないけれど、せめて何も知らない人たちは許してあげて。
そして、貴方達と共に歩く事を許してやってください。
私は彼等のいる世界で貴方に笑ってほしいのです。
さようなら、私の愛しい人。
クレハより




