第74話 時間稼ぎ
増えた敵の数を見て、加奈が呟く。
「狼使いに炎使い、手こずりそうですわね」
「ぼ、僕達大丈夫かな。勝てるかな」
「戦う前に怖気づいてどうするのよ。敵がどんなに多かろうと、強かろうと勝つつもりでいなきゃ、勝てるもんにも勝てないわ」
不利な状況にも拘らず、コハクの態度は変わらなかった。
(コハクちゃんは、どんな敵が立ちふさがってもたぶん、僕みたいに怖気づく様な事は無いんだろうな、すごく羨ましい。ずっと旅の間も見てきたけど、やっぱり分かんないや。どうやったら僕もコハクちゃんみたいになれるんだろう)
そんな事を考えていると、ジャスティスが驚くべき事を喋った。
「退くぞ。まだまだ暴れ足りねぇけど、俺達の出番はもう終わったらしいぜ。後は奴に任せろってサイードがさ」
「サイードが? 何だ、もう時間稼ぎしなくてもいいの? つまんない」
その言葉に驚いたように聞き返すのはコハクだ。
「時間稼ぎ? どういう事よ。あんた達は町をめちゃくちゃにする為にここに来たんでしょ。何をするつもりなの!?」
復讐心があるはずの自分達で町を壊さないというのは、一体どういう事なのか。
それは同じように復讐心を持っていて、自分で決着をつけたいと思っていたコハクには予想できなかった事のようだ。




