第73話 仲間の登場
「このっ、ちょこまか逃げるんじゃない!」
コハクはなおも魔法を撃ち続けている。
順調にハイドウルフの数は減っていっているが、リシュリー本人にはかすり傷も負わせていないので、焦ってしまうのだろう。
他の地域ではまだ戦闘が続いているのも、それに拍車をかけているのかもしれない。
見かねた加奈が声をかける。
「落ち着いてくださいな。コハク。そんな調子では倒せる相手も倒せませんわよ!」
「そうだよ、コハクちゃん。冷静になって!」
先程交わした相手との会話が影響しているのか、コハクはいつもよりも冷静ではないようだった。
攻撃の狙いが荒くなっていた。
「きゃはは、ノロマ。そんなんじゃ蠅だって撃ち落とせないよーだ」
「このっ!」
リシュリーに挑発されればされるほど、コハクの攻撃は杜撰になっていく。
そこに、新たな敵の増援がやってきた。
「遊んでるんじゃねぇ、リシュリー。とっくに終わったかと思って見にきてやったのに、全然じゃねぇかよ」
現れたのは、炎使いのジャスティスだった。
リシュリーは、ジャスティスの隣に移動して、手を合わせて拝む姿勢だ。
「げっ、ジャスティス! サイードには内緒にしててよ。こんな奴等に手間取ってたなんて事知れたら、怒られちゃうし」
「駄目だ。お前の事黙って俺になんの得があるんだよ。サイードは勘が鋭い、俺まで一緒に怒られたら、巻き添え食うだけじゃねぇか」
「えー、そんなー。ジャスティスのケチ!」
「はん、何とでも言え。自業自得だろ」
言い合いを始める二人は裕司達への攻撃を止めていて、こちらの事はまるで眼中にないようだった。




