第71話 狼使いとの闘い
リシュリーのそんな言葉にコハクが言い返す。
「冗談なんかじゃないわ! またあんた達はあたし達の大事な物を壊しにきたのね、すぐこの町から出て行きななさいよ! そっちがこんな真似止めるんだったら、あんた達を追っかける理由なんてそもそもなかったんだから!」
「あ、れぇー。あたし知ってるんだよ。あんたって復讐する為にあたし達の事追いかけてたんでしょ? それなのに、そんな事いうんだー? きゃはは、おかしなの!」
「くっ、あたしが言ってるのはそもそも最初から破壊活動なんてするなって事よ! あんた達が人間もアルカミレスも滅ぼそうだなんて考えなければ、あたしは……」
それはコハクの口から初めて聞いた、本心だった。
復讐の旅を続けながらも、彼女は本心ではそんな事はやりたくないと思っていたのだ。
最初からそうだったのか、途中からなのかは分からないが、コハクは今明らかに理由さえなければ、と思っている。
「おばさん達やおじさん達に悲しませるような事、こんな辛い思い……」
やりかえそうとしているコハクは、自分自身もその行為で傷ついていたのだ。
けれど、そんな思いを抱えていてもコハクは強かった。
戦う事を止めるという選択はしなかった。
(コハクちゃんのその固い意思は一体どこから来るんだろう)
裕司には、その意思の源が何なのかさっぱり分からなかった。
悩ましげな表情をするコハクは、リシュリーを強く睨みつける。
「あたしは復讐を諦めない! だけど、あたしの復讐の為に、この町の人たちを悲しませるわけにはいかないわ。だから、今なら譲歩してやってもいいわ。武器を置いて大人しく捕まりなさい! それ以上、手は出さないと……約束する」
「コハクちゃん」
「コハク」




