第60話 戻って来た始まりの町
裕司達がこの世界に来て最初に歩いた町に戻って来た。
カステル・キャッスルに向かうまでの時間を同じだけ使って。
ほぼ一か月かかった。
到着した時点で残された時間はわずか三日だ。
予定された果たし状の期日まで、それだけの時間しか残されてなかった。
クリスタルパレスに向かった裕司達は、当然のように兵士達に捕まったが目覚めていたクレハの説明により、不法侵入の件は特別に許される事になった。
そういうわけで、再び美しい庭園へと踏み入れた裕司達は、寝台に身を起こすクレハと対面していた。
クレハは病を患っていて、しかも本人にやらなければならない事がある為に、起き上がって簡単に動き回れる体ではないらしかった。
裕司達はそれを聞いて心配になるが、クレハの顔色は良さそうだった。
「心配なさらないでください。異界の小さな訪問者さん達。ここのところは体調がいいので、大丈夫です。一か月前に起きた時も、特に大変な事はありませんでしたから」
安心させるように微笑む。
なら、とコハクは話を進めていく。
「具合は悪くなさそうね、クレハ。ここに来る前に兵士から聞いたけど、例の果たし状が届いてからもすぐに対策をうったそうじゃない」
「ええ、いつも心配をかけてしまってごめんなさいね、コハク」
「べ、別に心配なんてしてないわよ」
やわらかく微笑まれたコハクは、顔を赤くしながら話を進めていく。
「それで、これからどうするつもりなの? 急いで知らせに来たけど、無駄足だったみたいだし」




