第58話 大変な事態
話しかけた人が説明する。
「今から一か月後に、アルケシオンの町で大掃除をする……とか書いてあったな。アルケシオンの町を治めるクレハ様に向けて啖呵を切るような様子で、守れるもんなら守ってみろって……、そんな事も」
「そんな事が……」
裕司達は驚くが、内容はまだまだそれだけではないようだった。
「だけど、それは正当な報復行為だって書いてあったぜ。よく分かんないけど、アルカディア……っていうのが迫害されてきたから、そのツケを払えだとか何だとか、意味分かんねぇよな。まったく。どーせ、誰かの悪戯だろ」
「そう、ですわね、説明ありがとうございましたわ」
加奈が礼を述べた後、裕司達はすぐにその場から去り、コハクの元へと急ぐ。
裕司は、脳裏にこれまでの旅で見た場所の事を思い浮かべていく。
人のいなくなったブルー・ミストラルの里。
襲撃で大打撃を受けたホワイト・エールの町。
アルケシオンの町がそれらの町の様になってしまうと思うと、裕司はいてもたってもいられなかった。
「クレハさんって人、この果たし状の事知ってると良いけど……」
「あれだけ堂々と掲示したのなら、当の目的地に知らせないなんて間抜けをするとは思えませんけれど。念には念を入れて様子を見に行った方がいいかもしれませんわね」
小さな声で話し合う裕司達をじっと見つめていたポポは、どうしてそんな風になっているのか分からない様子で、声を上げる。
「ねぇ、ユージ、カナ。どうしたの。何か大変な事があったの?」
裕司は疑問に答える。
「大変な事はまだないけど、これから起こるかもしれないんだ」
「ええ、何とかする為にどうすればいいか話し合ってる所ですわ。ポポはまだ気にしなくていい事ですわよ、きっと」
説明した裕司達は、その後も色々と話を続けていく。
その近くで、腑に落ちないと言った様子のポポはますます首を傾げながら、小さく呟いた。
「大変じゃないのに頑張るんだ。うーん、大変にならない為に? ボクは考えなくても良い事なのかな。何でだろう……」




