第56話 ささいなきっかけ
どうやら調べ物はあまり進まなかったらしい。
それで、空腹もあって苛々していたようだ。
険悪になるコハクと加奈だが、そこにポポが言葉を放つ。
「そうだよ。ユージは悪くないよ。コハクが喜んでくれるって思って買って来たの、ボク知ってるよ」
「ポポちゃん、ありがとう。加奈ちゃんも」
それを聞いたコハクは、言葉を詰まらせて黙り込む。
そして、ユージに近づき、持っていた容器をひったくる。
乱暴な手つきで包み肉焼きの入った箱を開けると、一息で口の中身放り込んだ。
「「「あっ」」」
「熱っ! 熱っ!」
裕司達が想像した通り、熱さに悶えるコハクは一通り苦しんだのち調べ物に戻って行った。
「これで文句ないでしょ! あたしはまだここで調べてるから外に行けば?」
時折、舌が熱いのかコハクのうめき声が聞こえてくるが、それ以降話しかけてくる様子はなかった。
裕司達は顔を見合わせて苦笑する。
「ここは、一人にしてさしあげましょう。まったく素直ではありませんわね。それでは私達は部屋の外で昼ごはんにしましょう」
「うん、ボクもうお腹ぺこぺこ!」
(きっと、ケンカしようって思ってケンカになっちゃったわけじゃないよね。つい言っちゃった一言が、思いもよらない感じで相手を傷つけちゃっただけで、コハクちゃんは僕達といがみ合いたかったわけじゃなかったんだから)




