第46話 ポポの歌声
深夜遅くまで手伝いを続ける事になった裕司達だが、結局途中で大人達に止められて休む様に言われていた。
それは、隣町や付近の村から応援が来た事によって、余裕が出来て来た為だった。
裕司達が一息ついた頃には、避難所に目立った混乱はなかった。
「ふぁ、あくびがとまらないわ」
コハクはもじどおりあくびして、眠そうにしている。
裕司は休めると思った途端、急に疲労が重くのしかかって来るのを感じた。
「ポポちゃん、どうしてるかな」
「様子を見に行ってみましょう」
眠気をこらえつつ 小さな子供達の面倒を見ているだろうポポの様子を見に行く。
子供達に囲まれているポポは避難所の一画で歌を歌っている様だった。
建物の中に入ると、歌声が聞こえてくる。
旋律は穏やかで優しいものだった。
ポポが口ずさむのは子守歌だ。
裕司はその歌を聞きながら、小さな声で呟く。
「ポポちゃんは歌が得意なんだね」
「素敵な歌ですわね」
否定するところがまったくないと言ったように、加奈も大きく頷いた。
耳に聞こえてくる歌は、どんな歌手にも引けを取らない上手な歌声。
聞きほれる裕司達の後ろを歩いていたコハクは、怪訝な声を漏らした。
「これって……」
「どうしたの? コハクちゃん」
裕司が振り返ると、花瓶に生けてあった花に真剣な視線を注ぐコハクの姿。
「いいえ、何でもないわ。さっさと行ってキリの良い所でポポを寝かしつけるわよ」
首を振ったコハクはそれ以上裕司達に何も説明することなく、歩みを再開した。
「まさか、あれがポポの魔法……? まさかね」
背後から呟かれたそんなコハクの言葉だが、その意味を裕司達が知るのは、まだ当分先の事になる。




