第44話 逃走
どうやってコハクを説得しようか思い悩んでいる裕司達の前で、何かの影が素早く通り過ぎ、ジャスティスの体を掴んでいってしまった。
それは、ブルー・ミストラルで出会ったハイドウルフだった。
「しまった。他の仲間がいたのを忘れてたわ」
おそらく狼使いの少女が操っている狼だろう。
知らない間に近くに来ていたらしい少女は、倒れているジャスティスに気が付いて狼をけしかけたのだろう。
追いかけようとした時には遅かった。
狼はすでに遠くへとジャティスを運んでいっている。
それでもあきらめきれなかったのか、コハクが追いかけようとするのだが、遠くで誰かの助けを求める声が聞こえて踏みとどまった。
声が聞こえて来た方を見て、加奈が言う。
「追いかけるのなら止めはしませんわよ」
「分かってるくせに、聞かないでよ」
コハクは渋々と言った様子で、どこかで困っているかもしれない誰かの元へと急いだ。
この町の住人の為に怒っていた事を、忘れてはいなかったようだ。
悔しそうなコハクの背中を見ながら裕司は思う。
(コハクちゃんはやっぱり根は優しい子なんだ。でも、そんなコハクちゃんに固い復讐の決意をさせちゃうぐらい、ブルー・ミストラルではひどい事があったんだろうな。でも僕はコハクちゃんに復讐なんてしてほしくないよ。次があったら、僕は何て言ってコハクちゃんを止めれば良いんだろう)




