第42話 とっておきの作戦
ジャスティスからは、一向に近づいてこないコハク達は先程言ったように弱虫に見えているのだろう。こちらの様子を見て、焦れているのが感じられた。
炎が当たりさえすれば、簡単に倒せる人間がいつまで経っても回避に徹しているのだから、向こうが短絡的な行動に出るのは時間の問題だったかもしれない。
小声で教えてきた加奈の言った通りだった。
気が短い方だったらしいジヤスティスはそうと気づかないまま、自分が背にしていた炎から離れ始める。
攻撃の感覚が短くなるジャスティス。
そこで加奈が炎を避ける時に、わざと昆を取り落として見せた。
「まずいですわ」
演技で狼狽してみせれば、ジャスティスはさらにそこを畳みかけようと近づいてくる。
コハクは、さっさと確実に息の根を止めたいと思っているその少年に、ではなく頭上へと魔法を放った。
「ルムーブ・ユクト!」
目に見えない衝撃波のようなものを放ち、ジャティスの背後の燃えている家屋を攻撃。
焼け続けて脆かった建材などが剥がれ落ちて来た。
「何ぃ!?」
驚いたジャスティスが背後を降り返る。
そこで、建材から身を守ろうととっさに腕をかざしたところで、加奈が突撃した。
「やぁぁぁ!」
裕司が知っている通り加奈は、お嬢様だ。
だから普段から昆などの武器を、物騒な物を持ち歩いて生活するわけにはいかないので、基礎的な護身術ではまず体術を教え込まれていた。
「武器がなければ攻撃できないなんて、誰が言ったんですの!?」
突進した加奈は落下してくる建材をすり抜ける様に、家の方へとジャティスを突き飛ばし、自らは横に飛ぶ。
「この、くそ」
突き飛ばされたジャティスはそれでも、最後の抵抗とばかりに腕をかざして、加奈へ攻撃しようとするが。
「加奈ちゃんは攻撃させない」
裕司の銃暖がその腕に当たって、痛みで手を引っ込めた。
燃え盛る建物の壁に背中から突っ込む事になったジャスティスは気を失ったようだった。




