第37話 生き残り
目の前ではいまだに少年が破壊活動を続けている。
「ぎゃはははは。くたばれ愚かな人間共、アルカミレス共、歯向かえるもんなら歯向かってみろよ!」
少年がそんな風に喋りながら、建物に向けて手をかざす度に、火は激しさを増していく。
「このっ、いい加減に……」
コハクが一歩前へ踏み出して、何かを言おうとするのだが、その前に人の気配がした。
燃え盛る近くの家の中から、一人の女性が赤ん坊を胸に抱いて、出て来たのだ。
「げほっ、げほっ……誰か助けて」
建物の中から出てくるまでに煙を吸ってしまったらしいその女性は、急き込みながらも、近くにいた少年に助けを求める。
「お願い、せめてこの子だけでも安全なところに……」
女性は少年が何をしていたのかも知らず、今まで腕に抱いて守っていた子供を渡そうと差し出していた。
裕司達ははっとする。
「あん? 何で俺様が人間のガキなんかを助けなくちゃなんねぇんだよ、こんなもん俺様が燃えカスにしてやるよ」
少年が、残酷な言葉を言い放って、赤ん坊に向かってその手を伸ばのだが……。
「あ、コハクちゃん」
「まあ、そうなりますわよね」
女性と少年の間に割り込んだコハクが叫んだ。
「待ちなさい! この卑怯者!」




