第34話 ケンカの仲裁
「男だから、女だからなんて下らない事ですわ。女だから冒険せず家でじっとしてろなんて言われたら、貴方は怒るのではありませんの?」
「それは、……。そうかもしれないけど」
一瞬怯んだ様子で言葉につまるコハクだが、すぐに勢いを取り戻して言い返す。
「だからって、女でも男でも怖がりで臆病でへっぴり腰なのは、私は嫌いよ」
「そうですの。では、女でも男でもそういう可愛げのない態度をする人間は、私は好きではありませんわ」
コハクと加奈は、視線を合わせながら火花を飛ばし、つーんと効果音が聞こえてきそうな勢いで、互いに別の方を向いた。
耳から手をどけた裕司はそれを見てハラハラする。
(ぼ、僕が原因なんだから、何とかしなくちゃ)
「二人共、ケンカしちゃだめだよ」
「ケンカじゃないわ、可愛くない意見のぶつけ合いよ」
「大丈夫ですわよ、裕司様。ちょっと可愛げのない人と可愛げのないお話をしてるだけですもの」
目の前にいる二人は笑顔だったが、裕司はなぜか冷や汗をかいてしまった。
何とかとりなそうとするが、二人は聞く耳を持たない様子だ。
だが、そこにポポが声を上げた。
「コハクもカナも、ケンカは駄目だよ。つまらないなら、ボクが生まれる時みたいに仲良く歌でも歌おうよ。ほら、らららー」
「へぇ、上手いじゃない」
「良い声ですわね。これは、私達が歌を歌って聞かせたのが、関係しているのかもしれませんわね」
透き通るような綺麗な歌声が響く。
二人はすっかり、ケンカの事を忘れてポポの歌声に聞きほれていた。
(ふぅ、一時はどうなる事かと思ったけど、良かった……)




