第28話 アルカミレスの誕生
夜も深まって来た頃。
野ざらしで野宿するわけにもいかず、そろそろその場を離れようとした時だった。
近くにあったマザー・ツリーが淡く光輝いた。
「コハクちゃん、これって!」
「生まれるわ! 新しいアルカミレスが」
「驚きましたわ。本当に木から命が生まれるんですのね」
喋っている間にも、光はどんどん強くなってきている。
マザー・ツリーがこれ以上ないくらいに強烈に光ると、その光が弾けるように一瞬強くなって、木の表面がゆっくりと左右に開いていった。
それは幼虫をくるんだ繭が……、雛を包んでいた卵が……、自らの意思でその身を開いていくような、そんな光景を連想させるものだった。
やがて開かれる木の内部。
中から現れたのは小さな女の子だった。
裕司達より、少し年下くらいの少女だ。
「ん……」
もぞもぞと動き木の中にいた少女は目を開け、焦点の定まらない瞳を裕司達へと向ける。
ごしごし目をこすった後、少女は自ら木の中から出て来て、そして伸びをした。
「くぅー」
一見して、どこも悪くなさそうな少女。
枯れ木の状態は影響しなかったようだ。
そして、目いっぱい体を伸ばした少女だが、この世界へと生まれ落ちた数秒後に、眠気に抗いきれなかったようだ。
「もうひと眠り……。むにゃ」
そう言って、その場に横になって丸くなってしまった。
後に聞こえたのはとても健やかそうな寝息。
「すぅ、すぅ」
息を呑んで見守っていた裕司達は、反応に困って互いの顔を見合わせた。
その後で、やはり一番先に声を上げたのはコハクだった。
「って、起きなさいよ。もう充分今までに寝てるでしょ!」




