第26話 違う事と同じ事
そこまで言ったコハクは、ほんの少しだけ躊躇った後に三本目の指を立てて、続けた。
「歌が上手かったら聞かせてやりなさい」
「歌?」
裕司達は、思わず顔を見合わてしまう。
「植物の生育に音楽を聞かせると良いって話よ。これはまじないとかそういう類いのものだけど。気休めでもないよりはまし……かしら。あんた達は聞いた事ない?世界が違うと常識も違うもんなのかしら?」
裕司は、現実的な考えを持つコハクから飛び出した言葉とは思えなかった。
心当たりがある加奈が、しっくりこない様子でいながらも相槌を打つ。
「ええまあ、私達の世界にもありますわね」
「何よ。変な目でみないでよね。私だって、そういう事ぐらいするわよ。歌を歌うのは、人が傍にいないとツリーが落ち着かないから。だから近くにいるって事を知らせて安心させてあげなきゃいけないの」
「そうなんですわね」
「そっか、ツリーはボク達の事が分かるって事なんだ」
「当たり前でしょ」
予想外の言葉に、裕司達は目を丸くするしかなかった。
(その当たり前は僕達の世界では当たり前じゃなかったんだけどなぁ。住んでる所が離れてると、こんなに色んな事が違うんだ……。でもやっぱり、コハクちゃんを見てると、人の考え方なんかはそんなに違わない気がするな)




