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アルカディアの魔法使い  作者: 仲仁へび
第二章

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第21話 プレゼント



 いつの間にか、ハイドウルフをけしかけた人間の気配はなくなっていた。

 声も聞こえない。


 裕司はほっとするのだが、


「何よ、つまんないわね。威勢だけ良いんじゃない。私一人でも余裕だったわ」


 復讐を果たせなかったコハクは、不満そうだった。


 うでわ探しを再開する。


 大きな木の下で、太陽の沈む方向を重点的に捜せば、ほどなくしてそれが見つかった。


 土を掘り返した地面の中に、埋まっていた小さな箱。


 その中にはシルバーの腕輪と手紙が入っていた。


「コハクへ、

 大魔導士になる夢を持ってるあなたの為に、魔力の上がるうでわをゲットしました。

 良かったら大切に使ってね。

 あと、ちゃんと手伝ってくれた子にはお礼を言う事。

 貴方のかけがえのない親友 リィンより」


 コハクは丁寧な手つきで手紙をしまって腕輪をはめた。


「何よ、お節介」

 手紙に向かって文句を言うものの、そこにいつものような威勢のよさはない。


 そして、コハクはすぐにそこから背を向けて、その場を後にする。


「用事は終わったわ、行くわよ」

「え、もう良いの? えっと他にやる事とかは……?」


 例えばお墓参りなどはしなくて良いのだろうか、とそう裕司は告げるのだが、コハクは頭を横に振った。


「死者を悼むのは、生きてる人間が心に整理をつける為でしょう。悲しむのも過去を回想するのもとっくに終えたわ。いつまでもそんな事にこだわってたって、リィンの為にもならない。だったらやるべき事をやった方が良いに決まってるわ」


 現実的な考えを述べるコハクだったが、その表情は少しだけ固かった。


 裕司は次にここに来る機会がいつになるのか、考えながら言葉をかけた。


「じゃあ、今度ここに来たら。綺麗なお花とか持ってきたいね」

「呆れた。そうする前に自分達が帰る方が先でしょ? 思ったより、お人よしなのね」


 加奈は裕司の言葉に同意する様にそんなコハクへと告げる。


「それが裕司様ですもの。顔も知らない私達が悼んではいけませんの?」

「そいうわけじゃない」

「なら、私も機会があったら付き合わせていただきますわね」

「ほんっと物好き」


 呆れたと言う風でも、コハクの表情は先程より少しだけ明るかった。 



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