第18話 うでわ探し
里の中央にある大きな木の近くにやってきた裕司達は、周囲を見回しながら腕輪の埋まっていそうな場所を探していく。
なるべく地面が固くない柔らかそうな場所や。
掘り返された証として、雑草のあまり生えてない場所を見ていく。
「片っ端から掘り返してもいいけど、やっぱりそんなの時間の無駄よね。私クイズとか謎かけとかそういうのは得意じゃないのよ。私一人じゃ、簡単に見つけられないって分かってるくせに、あの子……何でこんな所に埋めたのかしら」
コハクはぶつぶつと文句を言いながら周辺を歩いている。
裕司は思った推測を、そんな少女に口にした。
「たぶんだけど、コハクちゃんが一人で出来ないって事は、プレゼントを探す時は他の人と協力して探してほしいって考えたからじゃないかな」
「なるほど。コハク、友達いなかったんですのね。だからその子はお節介を焼いたと……。まあ普段の態度から、そんな気はありましたけれど」
「なっ、失礼な事言わないで。誰がぼっちよ」
「そっか、ぼっちだったんだね。コハクちゃん」
「誰もぼっちだなんて言ってませんわよ、コハク」
「--っ!」
自爆するような言葉を自分で言ってしまった事に気が付いたコハクは、離れた場所に移動して、一人で探し始めてしまう。
そんな姿を見て、加奈がため息を付く。
「きっとその方は心配だったんですわね、コハクの事が」
「良い友達だったんだね」
もし、出会う事があったら、仲良くなれていたかもしれないと裕司は思う。
だが、そんな機会は永遠に訪れない。
里の現状を見れば、それは考えるよりも明らかな事だった。
「どうしてこんなひどい事したんだろう」
「さあ、何故でしょうね。私達には分かりかねますわ。そればかりは犯人に直接聞いてみるしかないですわね」