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アルカディアの魔法使い  作者: 仲仁へび
第一章
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プロローグ



 小学四年生である裕司ゆうじには、欠点があった。

 怖いものがたくさんある事だ。

 お化けや、虫、屈強な体格の大人達……などなど、数えたらきりがない。

 そして、後は臆病で気弱な事も欠点だ。


 裕司は常に、そんな欠点を克服し強くなりたいと思っていた。

 ……というのは、守ってあげたい女の子がいるからだ。


 その女の子は、幼なじみで同い年の加奈かなという、裕福な家に生まれたお嬢様だ。


 そんな加奈を守らなければと思う事になった原因は、お金持ちであるがゆえに、豊かな暮らしを送っていた為、悪事を企む者達にしょっちゅう狙われてしまうからだった。


 そんな加奈が誘拐されるという事件が起こったのは、今よりだいぶ昔、裕司達が小学校に上がったばかりの事だった。


「何ですの貴方達、何か私に用でもあるんですの?」

「加奈ちゃん、怖いよ」


 学校の帰り道、加奈と共に歩いていた裕司は、怖い顔をした大人に囲まれて車に詰め込まれて、二人一緒に誘拐された事があった


 裕司は、加奈の周囲にいたボディーガードをあっという間にけちらしてしまった誘拐犯たちが怖くてたまらなく、その時に何もできなかった。

 ただ走る車の中で恐怖に震え加奈に励まされていたその日の事を、今でもはっきりと思い出せる。


 幸いにも最悪の事態にはならず、後に警察の人達が誘拐犯を倒して、裕司や加奈達を救出してくれたのだが、そうでなければどうなっていたか分からなかった。


 裕司はその時に恐怖に負けて何もできなかった自分をとても悔いていた。

 だから、裕司はその時の悔しさを忘れない為に加奈に約束したのだ。

 欠点をなおして、強い人間になりたいとそう思いながら。


「僕、たくさん強くなって加奈ちゃんを守れるような男の子に絶対なるよ。約束する!」


 だから四年経った今でも裕司は、その約束を守る為に、加奈を守る為に努力を続けているのだが、現実は厳しかった。

 

 裕司はどうすれば強い人間になれるのか、まったく分からないままだった。



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