0章最終話:ハイスペックだからいけない
これにて幼少期編は終了です。
ただしEX章があります。
僕は宇美矢 晴兎、9才。
未虹小学校に通う普通の小学生だ。
突然だけど僕には兄と妹がいた、だけど僕が悪いことをしたみたいで僕は今、マンションで1人暮らしをしている。
家賃はお爺ちゃんが払ってくれてるけど、掃除や洗濯、部屋の片付け、ご飯の作り方、中学3年生までの勉強、これら全てをお爺ちゃんに2年間学校に行く時間さえ潰されて叩き込まれた。
おかげで学校の授業は簡単だけど僕の印象は不登校児で誰とも喋らない暗くてやべーやつとなっていた。
そんなことから半年経った9月のある日、今日登校を再開して以来初めて、クラスメートの1人が話しかけてくれた。
「よっ、晴兎くんだっけか?」
「うん、そうだけど君は?」
「俺は愚能 一真。晴兎くんの左斜め後ろの席で近いんだから名前くらい覚えてくれよ。……それにしても晴兎くん、お前って思ってたより暗い奴じゃなくて安心したぜ?噂じゃ不登校児で誰とも喋らない暗くてやべーやつなんて言う奴もいるからどんな奴が気になって話しかけてみたんだ。」
「そうなんだ。よろしくね一真くん。」
「あぁ。俺たちは今から友達だ!」
こうして一真くんのおかげで僕に話しかけてくれる人は多くなった。
一真くん、……一真意気投合することがあったり、時にはちょっとしたぶつかり合いがあったりなんだかんだあって僕たち2人は親友となった。
だけどそんなに長くは続かなかった。
◇その年の1月、三学期明けのある日のこと◇
僕と一真はいつものように2人でクラスで一番早く教室に入った。
「晴兎……大事な話があるんだ。」
「どうしたのそんな暗い顔してさ。いつもの元気はどこに行ったの?」
「……晴兎にだけは早めに伝えたい話があってな。俺……親の都合で少し遠くの県に転校することになったんだ。」
『転校することになったんだ』
と、その言葉が僕の中で何度も響く。
「え、え?ほ、ホントに?」
「……あぁ。引越しの準備が終わり次第転校することになった。………これでさよならだな晴兎。」
「……それは違うよ」
「?」
「例え立場が変わったり遠くに行って会えなくなっても僕たちはいつまでも親友だ。だからさよならなんて言わないでくれるかな?」
「あ、あぁそうだな!その通りだ!……行ってくるよ親友!」
「いってらっしゃい親友!」
この次の日担任の先生からクラスメート全員に一真が転校したことが知らされた。
「あいつウザかったんだよなぁ〜。生徒の分際でキチガイ晴兎とつるんでるし。あいつのせいで俺らまで晴兎に気を使わないといけないんだよなぁ〜!この女顔野朗!!」
「痛っ!何するの先生!なんで殴るの?」
「はぁ〜。わからないキチガイ晴兎くんに優しーく先生が教えてあげるよ。2年間も学校に来なかった小学生の癖にちょーぉっと頭がいいからって数学では先生の計算ミスを指摘したり、音楽の授業で女顔で声変わり前だからって男の癖にソプラノ歌いやがるし、家庭科の授業では裁縫も料理も女子生徒の活躍場なのに一番活躍してるし、社会や理科、図工の授業では何も教えることがねぇ!体育も無駄に出来る、教師をなんだと思ってやがる!このハイスペック野朗が!」
と先生は僕を怒鳴りつけながら殴り続ける。
もちろんとっても痛い。
けど不思議とあざや怪我が一切できていない。
「そうよ!なんで休んでた癖にそんなに出来るのよ!第一あんたスペック高すぎて邪魔なのよ!死んでしまえばいいのに!」
そう言ってクラスメートの女子1人が僕を殴り始めた。
そして先生によって最悪の合図が掛けられた。
「晴兎に恨みがある奴は今から殴れ!先生が許す。死んでも問題ないぞ。」
そう先生が言うとクラスメートの大半が僕に暴言を吐きながら殴り始めた。
僕の中で何かが壊れた。
それと同時に僕は冷静になって痛みを無視して殴られ続けた。
僕が動けない様に先生が僕を固定してたので我慢するしかなかった。
あれから気がついた先生の1人が通報して先生は逮捕、クラスは終業式まで学級閉鎖をすることになった。
ただ、僕には何故か怪我やあざが一切見つからなかったそうで手加減してたんじゃないかと言うことになった。
また僕を殴った生徒たちは「先生に言われたから」と言って言い逃れした。
そして僕はハイスペックだからいけないと自分に言い聞かせて冷静に何事もなく12歳になって小学校を卒業した。
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