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冒険者ギルドのチート経営改革 魔神に育てられた事務青年、無自覚支援で大繁盛(書籍化&コミカライズ作)  作者: ハーーナ殿下
第2章

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第69話:断れない相手

 横柄な役人がいきなりギルドにやってきた。


「吾輩は王宮執政官のイバリー・バルサンである! このギルドの経営者を王政依頼のために、偉大なる王宮に呼びにきたのだ!」


 男は王宮執政官と名乗ってくる。小柄でヒステリックそうな、薄毛な男。だが着ている服は確かに王宮文官の服だ。


「えっ……王宮執政官の方? 王政依頼⁉ ど、どういう意味ですか⁉」


 いきなりの役人の訪問にマリーは言葉を失っている。まだ何が起きたか理解できずにいるのだ。


「ふん! やはり低ランクのギルドか。王政依頼のことも知らんのか⁉ まあ、いい。とにかく今すぐ王宮についてくるだ!」


「えっ、い、今すぐですか⁉ まだギルドの営業中なんですが⁉ と、というか王政依頼って、どういうことですか?」


 マリーがあたふたするのも無理はない。何しろ執政官イバリー・バルサンの態度は横柄で、いきなり命令口調できたのだ。


「なんじゃと、吾輩の命令が聞けないのか⁉」


 あたふたマリーの態度に、イバリー執政官が不快な表情になる。


 これはまずい状況。オレは小声でマリーにアドバイスすることにした。


「オーナー、残念ながら王政依頼の招集に対して、ギルド側に拒否権はありません。とりあえずここは大人しくついていきましょう。王政依頼についてはオレが道中で説明をしますから」


「そ、そうだったんですか、フィンさん⁉ それは仕方がないですね……わ、分かりまし、今すぐ登城の準備をしてきます」


「ふん! ようやく吾輩の偉大さに気がついたのか。これだから低ランクギルドの連中は。おい、早くしろよ!」


 イバリー・バルサンはなんとか怒りを鎮める。

 マリーは自分の席に戻り、自分の身支度を取りかかる。外出用の上着や鞄や小物を用意する。


(王政依頼か……それなら、これと、これが必要になるだろうな)


 一方で、オレも準備を開始。王政依頼に必要になるだろう書類一式を、手早く準備していく。


 あと受付のレオンとクルシュに、留守番を言いつける。二人とも優秀なスタッフなので、通常業務は完璧にこなしてくれる。

 これでオレとマリーが外出もギルドの方は万全だ。


「お、おまたせしました!」


 マリーも少し遅れて準備を完了。自分用の鞄に、とにかく色んなものを押し込んでいた。だが一応は外営業の準備になっている。


「ふん。忙しい吾輩をこんなにも待たせるとは、これだら教育のない者の相手は疲れるのだ。ふん、それなら早く、表の馬車の後続車に乗れ!」


「えっ、はい。分かりました!」


 イバリー・バルサンの案内で、ギルドの外に出る。ギルドの前には二台の馬車が、やや下品に横付けされていた。


 装飾の豪華さ的に、先頭車両は執政官であるイバリー・バルサン専用車両なのだろう。

 一市民でしかないオレたちは、質素な後続車に乗るのだろう。


 他にも場所の周りには、数人の騎乗の騎士がいた。おそらくはイバリー・バルサン専用の護衛の騎士なのだろう。


「ば、馬車に乗るなんて、なんか緊張しますね……」

「そうですね。とりあえず乗りましょう、オーナー」

「あっ、はい」


 緊張しているマリーと馬車に乗り込む。中には先客は誰もいない。オレとマリーだけを乗せて、馬車はゆっくり動き出す。


「うっ……うっ……馬車って、けっこう揺れるものなんですね」


 初めて乗る馬車の乗り心地に、マリーは声を出している。王都の石畳を進み度に、馬車の中もがたがたと揺れてしまうのだ。


「そうですね。ですが豪華な馬車は、魔道具で衝撃を吸収するので、もう少し揺れないと聞きます。もしもオーナーが揺れを我慢できないようないでしたら、オレが“少しだけ”何とかしますよ。どうしますか?」


「え、そんなことが可能なんですか⁉ あっ……でも遠慮しておきます。フィンさんの“少しだけ”は何か嫌な予感しないですから。もしかしたら馬車の揺れが完全に消えて、大変な事態が起きそうな予感がするので……」


 何やらためブツブツ言いながら、マリーは息をついている。この様子だと馬車の揺れを我慢するらしい。それならオレも手助けを止めることにした。


「あっ、そういえばフィンさん。王政依頼って、どういう意味ですか? 名前だけは、なんとか聞いたことはあるんだけど……」


 マリーに知識がないのも無理はない。

 王政依頼は普通のギルドには縁のない依頼の一つなのだ。マリーの祖父も受けたことがなく、冒険者ギルドの詳しい彼女も知らないのだろう。


 王宮までの移動時間はまだある。彼女も分かるように説明をする必要おく。


「王政依頼はギルドに出される依頼の中でも、かなり特殊です。簡単に説明するなら『国から出される依頼』のことです」


「『国から出される依頼』? それなら前回の公共依頼と、何か違うんですか?」


「はい、大きく違います。公共依頼は協会を通して、各ギルドに出されます。ですが王政依頼は直にギルドに依頼がきます。そして依頼されたギルドには、基本的には拒否権はありません。更に依頼されたものは、失敗することも許されない特別な依頼です」


「えっ……拒否権がなくて、失敗も許さない⁉ そ、そんなの依頼って呼べるんですか⁉」


「そうですね。別の言葉で説明するなら王政依頼は『国や王からの絶対的な命令』です」


「く、国や王からの命令⁉ そ、そんな……どうして、そんな怖そうなものが、うちに……」


 説明を聞き終えて、マリーは涙目になる。

 彼女のこの反応も無理はない。何しろ王政依頼を失敗したことで、過去には厳罰を受けたギルもあるのだ。


 失敗したギルドは、大幅にギルドランクの取り下げが基本。最も大きな厳罰の記録として、ギルドの撮り潰しになったギルドもあったのだ。


「ですがオーナー。王政依頼は成功させたら、メリットも大きいです」

「そ、そうなんですか⁉ それは良かった。と、とにかく粗相がないように、王宮で説明をちゃんと聞かないとですね……」


 説明を聞いて、マリーはやや落ち着きを取り戻す。ため息つきながら、馬車の外の景色を見ていた。

 これなら王宮に到着しても、なんとかなるだろう。


(王政依頼か……どうしてうち、白羽の矢立ったんだ?)


 それは王政依頼の話を聞いた時から、オレの頭の中に浮かんでいた大きな疑問。


 何しろ王政依頼は王都の中でも、Aランク以上のギルドにしか出されないもの。

 たしかに最近のボロン冒険者ギルドは怖いくらに好調だ。

 だがここまでランクのギルド呼ばれることは、記録でも見たこともない。


(何や裏があるのか? いや……今はいくら推測を立てても意味はないな。とりあえず王宮で何が待っているか、様子をみるしかないな)


 こうして大きなリスクだらけの王政依頼の説明の場所。王都の中心部である王宮に、オレたちを乗せた馬車は到着するのであった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 全体を通して面白いが誤字脱字が多い印象。 そこを直していただければ幸いです。 [一言] う~ん、マリーさんがうざく感じる。設定に文句は言いたくないですが、もう少し落ち着きがある感じで書…
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