第6話 トーナメント戦 開始
騎士試験のトーナメント戦が始まった。
最初の2人組は両方、ガチムチボディのおっさんだった。
双方、力技の能力だったため案外地味な戦いだった。
それから、何戦もの戦いが目の前で繰り広げられる。
そして、8試合目の時。
カイルと年が近い男の子が戦うようだ。
相手は相変わらず鍛えられてる大男。
双方、睨み合い適度な距離を保っている。
そして、動き出した。先に攻撃を仕掛けたのは大男だった。
右腕を鉄で固める。能力は鉄なのか?
大男の大きな拳が少年に襲った。その瞬間。
少年は突如消えた。
いや、違った。
尋常じゃないほどのスピードで避けたのだ。
少年の進んだ方向に砂埃が立ち上がっている。
高速移動の能力だろうか。
次は少年が仕掛けるようだ。
地面を思い切り踏み込んだ。先程と同じように消えた。
その瞬間、大男の腹を殴っていた。
大男は身体中を鉄で覆った。
が、その鉄にはヒビが入り、割れ、砕けた。
そして、大男は吹き飛び壁へ強く叩きつけられた。
皆が驚きを隠せなかった。
いくら高速移動してもあそこまでの火力は出せないはずだ。なんなんだあいつは。
まるで、心を呼んだかのように少年は質問に答えた。
「俺はレオンっす。能力は【蓄積】っす。四肢に力を蓄積することが出来るっす。」
なるほど。
それなら、納得が行く。力を蓄積し踏み込み、力を蓄積し殴り飛ばした。
ぶっ飛んだ能力だ。
大男はまだ起き上がった。
並の特訓をしてきた訳では無いようだ。身体中から血が出ている。が、ニコニコとしている。
そして、完全に立ち上がった瞬間。
少年はまたもや消えた。そして、大男は壁へめり込んでいた。
闘技場全体が唖然した。
正直、生きてるのか分からないくらい血が出ていた。
印象に強すぎた。
そして、9戦目。
俺の出番だった。相手は大男のゴレムスとの戦いだった。
実に緊張する。肩に力が入る。
…そういや、俺は攻撃は普通のパンチだ。倒せないな。
武器もらいに行くか。
「あの、すみません。武器を貸してほしいんですけど」
「ん。君の能力はなんだい?」
「能力は【無傷】です。なので、攻撃手段は子供のパンチでして。それだと、キリがないので武器を貸してほしいんですけど。」
「あー、ダメだね。パンチ出来るなら十分だよ。貸せるのは能力に必要不可欠な人だけなんだ。申し訳ないね」
…まじかよ。
本当にキリないぞコレ。
みんなの前で俺は素手で相手をすることになった。
ゴレムスも素手のようだ。まじか。
「ピーーーーーー!」
試合開始の笛がなった。
俺は攻撃出来ないから、待つとしよう。
ゴレムスも、身構えている。
どうやら、素手という事で先程の試合を恐れてるようだ。
しかし、キリがないと分かったゴレムスが攻撃を仕掛けた。
が、ゴレムスは手のひらを地面に叩きつけた。
その瞬間。地面から、大量の棘のようなものが生えてきた。
急な攻撃なため、避けることは出来なかった。
ゴレムスもそれを見て勝利を確信したような笑みを浮かべた。
しかし、会場は唖然した。
確かにカイルの体を突き刺したはずの棘。
しかし、血はおろか傷さえもついていなかった。
カイルは安心と勝利を確信したような笑みを浮かべた。