3話 成長
剣技の練習は毎日行われた。
剣技はなかなか楽しいのだろう。カイルは満面の笑みで剣を振る。
しかし、それそれでなかなか怖い。
「そうだ、カイル。能力の熟練度も上げないとな」
「あ、確かに」
能力には熟練度がある。使えば使うほど能力は強化されていく。まあ、体に合っていく。って方が正しいのかもしれない。
体に合えば能力は変化をする者もいる。
例えば、手から炎を出せる能力が「炎を出す+炎をまとう」の、ような感じ。
カイルはどのような変化をするのか。キラスは興味があった。
まあ、最悪の場合は何も変わんないんだけど。
「【無傷】はどんな能力に変わるんだろ…楽しみですね!」
「だな」
どうやら、本人も気になってるみたいだ。
しかし、カイルの能力は【無傷】。これは、どうすれば熟練度が上がるのだろうか。
カイルに向かって攻撃をするだけで良いのだろうか。イマイチ分からない。
「とりあえず、自分に攻撃しとけ。でも、危なすぎるのはダメだ。」
「了解です」
「それじゃ、今日も戦ってみるぞ」
互いに少し離れ鞘から剣を抜き取る。
カイルも多少は成長したのか、前の様な特攻はしなくなっていた。お互いに目を鋭く、五感を研ぎ澄ましていた。
少しずつ互いが近づく。カイルはこんな経験が無いせいか、心臓の音がうるさいと感じるほどに緊張していた。
そして、先に攻撃を仕掛けたのはキラスだった。
キラスの剣は右からなぎ払う様に動いた。
カイルはその攻撃を剣で受ける事が精一杯だった。
キラスは再び攻撃を仕掛ける。
下から突き上げるように剣が動く。カイルはこれも剣で受けた。しかし、ここでキラスの能力【連斬】が発動、カイルの剣がまるで大量の斬撃を浴びたかのようにズタボロになった。
【連斬】の衝撃はものすごく、剣を持つことが出来なく、落としてしまった。
その隙に、キラスはカイルの喉を、掻っ切るように横から剣でなぎ払った。
カイルは【無傷】のため、躊躇なく出来る。
ついでに、熟練度も上がってウィンウィンだ。多分。
「【連斬】の衝撃ってやばいっすね。」
「まあね。こうやって、攻撃する時だけじゃなく、相手の防御を崩すことも出来る。能力は幅広く使えるぞ。」
【無傷】は攻撃に特化することはないだろうけど、いいことが起こることを望んでいる。