プロローグ
この世界は、生まれつき人に能力が保持される。
本格的に能力が開花するのは15歳あたりから。人によって能力は全く異なる。
物体を作り出したり、炎を出したり、足を異様に早くしたり、など様々な能力がある。
その能力を存分に活かし、世の中に貢献する人も居れば、優れた能力を利用し悪事を働くやからも。
そんな世の中、とある村で1人だけ能力開花が見られない少年がいた。
その少年の名は 「カイル」。
同い年の子はとっくに能力開花が見られているが、カイルだけが、何ともなく普通の少年のままだった。
能力は開花したら最初は無意識に発動してしまう。
なので、発見は簡単。しかし、見られない。
村では呪いじゃないか。などと噂されるほど。
そう言われるとカイルもその噂を鵜呑みにし始めていた。
「…どうゆうことなんだよ。わけわかんねぇよ。なんで俺は能力が無いんだよ」
愚痴をこぼしながら、森の近くを散歩していた。
特に目的があった訳では無い。なんとなくだった。
気がついたらいつの間にか奥の方まで行ってしまっていた。
「やばい。ぼーっとしすぎた。早く帰らねぇと」
この辺りは大柄のオークが出ると噂されている。そんなのに会ったら能力が無い俺はコテンパンにやられるだけだ。
早歩きで村に戻っていると突然、地面が揺れ始めた。
地震か?いや、違う。これは…
後ろを振り向くと、大柄のオークがこちらに全力疾走してきていた。
俺は腰が抜けてしまって動けなかった。
俺の人生はここまでか。存分に楽しめなかったなぁ。
今までの出来事が走馬灯となり頭を巡る。
オークが大きい斧を俺に振り下ろした。
…
………
……………ん?
俺は意識があった。傷すら負ってなかった。
オークは俺に何度も攻撃をしていた。何度も何度も斧を振り下ろしていた。
カイルはその攻撃を全て受けていた。しかし、自分には傷がない。ダメージが全くなかった。
俺はこの時理解した。
能力はあったんだ。既に開花していたんだと。
俺の能力は「無傷」なんだと。